ファーストカクテル。

 

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
先日、お屋敷のティーサロンにてお仕えさせていただき、カクテルをご提供させていただきました。
使用人にも「的場がフロアにいるのが新鮮」と言ってもらえるのですが、私も年に何回かのフロアでのお仕えでございますので、私もまた新鮮な気持ちでお給仕できました。

山岡とは音楽やお酒を嗜む仲で、肩を並べてと言うよりは色々教えていただいているような関係でございます。
お嬢様の見える所で一緒に執務を行う機会も少ないので、あまり関係性が見えなかったかもしれませんね。

山岡はこだわりの強い使用人でございまして、今回のカクテルの内容やレシピ、材料の調達など何でもすぐにこなしてしまいます。
能力が高いのは素晴らしいことなのですが、この「山岡的場のカクテルデー」のプロジェクトが動き出した時、私の中で一つの懸念がございました。

「このままではただの山岡カクテルデーになってしまうのではないか…!」

本人は私がやりやすいようにお膳立てを頑張ってくれていて、気持ちは嬉しいのですがこのままでは一体感が感じられない!

そこで今回は無理を言って時間を合わせてもらい、仕込みからできるだけ参加をさせていただきました。
私は今回のカクテルデーが初めてのカクテル。
手際が悪く、効率的に仕事を進めたい山岡にはかなり譲歩してもらって足並みを揃えていただいたと思います。
しかし山岡がお酒にこだわりがあるように、「せっかくだから一緒にカクテルデーを作っていきたい!」という一点のみが私のこだわりでございました。

生生姜をおろしたり、お酒を調合したり、ガーミラ・アダラクのシロップを作ったり。
仕込みは力がいる作業も多く大変でしたが、共に何かを作り上げてゆく作業は非常に楽しいものでございました。

また、シェイクやステアなどカクテルの作り方を教えてもらい、知識が増えてゆくのも稀な経験で、とても貴重な体験をさせていただきました。

私はカクテルに関して、使用人の中では素人の域を出ませんが、お嬢様にお出しするのに失敗作をお出しする訳にはまいりません。
付け焼き刃ではございますが、毎日シェイカーを振って練習を重ねました。

そして迎えた当日。
不安はございましたが、しっかりと山岡が準備を整えてくれた事もあり、比較的冷静に仕事を運ぶことができたかと存じます。
それでも視野が狭かった部分もあったかと思いますが、お嬢様がティータイムやカクテルタイムをお楽しみいただく様子はしっかりと拝見する事ができました。

最後までカクテルをお出しした後「もう終わってしまうのか…」という寂しさがございました。
本日お出ししたカクテルは一日限りなのですよね。
この一日だけの為に準備をしてまいりました。
エクストラティーやカクテルデーを担当する使用人は、毎回たった一日の為に一球入魂しているのですね。
私は今回山岡に師事したのみでございますが、当家の使用人たちの心意気は素晴らしいと感じました。
特別な日にご帰宅なさった時は是非使用人たちのスペシャルメニューをご用命いただければと存じます。

そんな使用人たちとまた、ティーサロンでの楽しい時間を演出することができたら、と存じます。
またティーサロンでお会いすることがあれば美味しいものをご提供できるように努力いたしますので、是非お召し上がりになっていただいてご感想を賜ることができればと存じます。

それではまたギフトショップのバンドゥールに戻るといたしましょう。
また今回のカクテルで感じた事を色々教えてくださいませ。

それでは本日はこれにて。