今日、私は忘れられた。
あんなに大事に持ち歩いてくれていたのに。
私に名前までつけてくれていたのに。
私の主はおっちょこちょいだ。
夢
お嬢様、お花見は行かれましたか?
私も運良く満開の時期に見ることが出来、紅茶を片手に春を楽しんで参りました。
話は変わりまして、今月の16日からお出ししております『T2シャーベット』の抹茶ミルクでございますが、今回は私がフレーバーの作成に参加させて頂きました。
もちろん最終的な味の調整などは当家の立花シェフにお任せしたのでございますが、私自身初の試みと言うこともあり、なんだかいつもと違った思い入れがございます。
なめらかな舌触りと、フワリと広がる抹茶の香りを是非お楽しみ頂ければ幸いでございます。
出会いの月
皆さま、お健やかでいらっしゃいますか?
暖かな陽気が続くようになりました。ようやく春本番、といったところでございましょうか。
お嬢様への手紙 ~ お屋敷への軌跡 その1
わが敬愛せしお嬢様。
ご機嫌麗しゅうございますか?時任でございます。
窓から見えるお庭も色づき、桜の季節を伝えております。
私が『お嬢様にふさわしき執事となる』ことを志し。
全てを捨てて身一つで、お屋敷の扉を叩いたのは、粉雪舞い飛ぶ冬の夜でございましたから。
早いもので。このお屋敷に仕えてより、一つの季節が変わろうとしております。
毎夜扉の前で嘆願する日々、お屋敷に踏み入ることを許されるまでに一月。
各務、大河内、小山内、朝比奈ら、敬うべき先輩たちに師事すること一月。
そして、大旦那様のお許しを頂き、燕尾を纏って給仕を許されてから、また一月。
これだけの教育と、先達たちの忠言と、
お嬢様がたからの寛容なる励ましを頂きながらも、
まだまだ思うようには、行き届いた給仕ができぬ我が身が不甲斐のうございます。
一日の最後の仕事として、深夜にテーブルを磨きながら、悔しさに身を震わせる夜もございますが。
いつかお嬢様に、心からのくつろぎと、安らぎをご用意できる執事となるべく。
日々の修練を怠らず、精進してまいります。
どうかお嬢様におかれましては。
季節の変わり目でも御座いますゆえ、くれぐれもお体にはお気をつけくださいませ。
お嬢様が日々、笑顔でお過ごし頂ける事を、時任は毎夜願っております。
…これだけでは堅苦しいばかりで詰まらないですね。
30%の可能性
最近、見ず知らずの人に話しかけられることが多い、百合野でございます。
大概、道を聞かれることや、
私が不自由そうに見え、声をかけてくださるだけなのですが…
過去に記憶をなくした私は、
もしかしたら記憶がなくなる前の人かもしれない…
そう思うと、つい
「どこかでお会いしたことございましたでしょうか??」
と聞いてしまいます。
羊の叫び
「それは僕の方じゃないか!」
なんとか口に出した言葉は赤子のような喧然たる叫びだった。
こんな僕はきっとクールじゃいられない。
誰もこんなこと望んでいないし、僕だって望んではいないのに。
出会い
温かくなってまいりますと、いろいろなものが姿を現します。
花や、小鳥たち。
春という香りが、まだほんのり冷たい、だけど確かに柔らかな風と共にやって参ります。