迷子のままで

犬や猫、はたまた金魚や雀は、どんなことを思って日々を
過ごしているのでしょう。
彼らに、記憶するという能力があることは確かでしょうが、
その記憶の中に、思い出と呼べる類のものは存在するのでしょうか。
過去を思って一喜一憂する――それは人間だけの持つ心の作用なので
ありましょうか。

持っているのは、手帳にペンに歳時記ひとつ――。
嫁菜の花咲くあぜ道は、視界の限り通る者も稲刈る者もおりはしません。
こんな所で迷っているから、さみしい作り話ばかりが頭に浮かんで
くるのでしょう。
散歩とは、なにも無計画に歩くことではございません。ようやく学んだ
気がいたします。

お体を冷やされてはおりませんか。
すぐに温かなお茶をお持ちいたしますので、お声がけくださいませ。
伊織でございます。

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お勧め紅茶~ピュアティー編~

お嬢様、お坊ちゃま、
ご機嫌麗しゅうございます、百合野でございます。

最近、紅茶に関心のあるお嬢様が増えてくださったおかげで
紅茶の事を聞かれる事が増えて参りました。

そこで段々新しい紅茶も増えて来た事ですので、

ここで「完全に個人的」な
お勧め紅茶をご紹介したいと存じます。
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秋の入り口

司馬でございます。
皆さま、お健やかでいらっしゃいますか?
今年の夏はとにかくお暑うございましたが、ようやく秋の入り口にさしかかったようでございます。
ここ数日、ことに宵の時刻からは、だいぶ涼しい風が肌に感じられるようになってまいりました。
そろそろ食欲の秋でございますね。
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橋のない河

空には鈍色が差し、しばらくぶりの雨模様でございますね。
ようやく寝覚めのよい季節がやってまいりました。

陳列窓に並ぶのは、外套を着た人台の列――早晩必要にはなり
ましょうが、まだまだ暑さの戻りに油断はできません。
しかし自然の理とは不思議なもので、野の花木はそれでもきちんと
暦を数え、時期を違わず主役の舞台へと上がってまいります。

お嬢様、いかがお過ごしでございますか。
伊織でございます。

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