蒼氓

お嬢様、お坊ちゃま、ご機嫌いかがで御座いましょうか? 金澤でございます。

お屋敷の庭の桜の木は葉桜となり、着実に新たな季節へ向かっている事を感じさせます。
お花見は楽しまれましたでしょうか?

私は今この日誌を北へ向かう電車のクロスシートに腰かけ車窓を眺めながら書いております。
外は日も暮れ、街の灯りがキラキラと輝きだしました。

私は電車の車窓から景色を眺めるのが好きです。
子供の頃は電車に乗ると先頭車両の運転席方向の窓にがぶり付き、運転士になった気分でよく眺めていたものです。
大人の今は窓の外をボーっと眺めいろいろな物思いに耽る事が多くなりました。

無数に広がる灯りの数々、その一つ一つに意味があり、そこには人々の人生がある…

そんな目の前に広がる夜景を見ていると、ふと思う…
私は小さな存在にすぎない、その存在の意味は何なのか…
突然、哲学的な考えに浸ってみたりして…

大自然を前にするとその圧倒的な景色に人間のちっぽけさを感じ、悩みなど小さく感じる事があります。
海が大好きな私はよく大海原から自然のパワーを受け、心が洗われる感覚を得ます。

それとは違う電車から見る東京の夜景

なんでしょうこの感覚は…
言葉で表すのは難しいです。

携帯音楽プレーヤーから 『蒼氓』 が流れてきました
今の私には心に深く響きます…

ボーっと外を眺めます

遠くで瞬く高層ビルの赤いランプ
高速道路を流れる車のライト
多くの建物の窓から電球色のあたたかい明かりが見えます

このたくさんの光のどこかで、お嬢様は日々を頑張っておられる事でしょう
今、私の目には見えない遠い街の光の中で、お嬢様は頑張っておられることでしょう

そう思っていると、何故か少し寂しい気持ちになってしまいます
何故かそう想ってしまいます…

降りる駅が近づいてきました。
こうしてまた日常が過ぎていきます。

   
さてと!
お使い事も済んだし、お屋敷に帰る前に駅前の赤提灯に吸い込まれることにします!
ビールに焼き鳥!(ニヤリ)

さっきまで街の灯りを眺めつつ静かに物思いに耽ていたような…
まあ今度は赤提灯の灯りに人生の味わいを感じるとします!

(二時間経過・・・)

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あはは!
飲みすぎちゃった!
あはは!

てくてく歩き、お屋敷の灯りが見えてきました

そのあたたかい明かりに救われたように思ったこと…

お嬢様の使用人として、小さな存在であるけれど、その意味が確かにあると思えたこと。。