司馬でございます。
皆さま、お健やかでいらっしゃいますか?
もはや真冬と言ってもいい、厳しい寒さが続いております。
お嬢さまの中には、お屋敷からお出かけになりまして、雪山でスキーやスノーボードに興じる方々もいらっしゃることでございましょう。
しかし、私は生来の出不精のうえ、どうしようもない寒がりでございます。
申しわけございませんが、雪山へのお供はお役御免をさせていただき、冬の休日はもっぱら屋敷内に閉じこもり、読書や映画鑑賞の日々でございます。
冬には、雪景色が印象的なお話もよろしいのでございますが、寒さがますます募るような気もいたしまして、あまのじゃくな私は、ついついあまりにも夏らしい風景を描いた映画などを観たくなってしまうのでございます。
そこで、ふと思い出しましたが、皆さま、「グラン・ブルー」という作品をご存じでいらっしゃいますか?
1988年制作のフランス映画でございまして、いまや名高いリュック・ベッソン監督の出世作と言っていい名作でございます。
物語は、素潜りの最深記録に挑む二人のダイバー、ジャック・マイヨールとエンゾ・モリネーリを中心にすすんでまいります。しかし、これは勝敗を戦わせる類の映画では決してございません。光の差し込まぬ深い海に魅了された男たちの、静かな、そしてどこかもの哀しい情熱を描いております。
題名が示すように、青い海がだんだんと深い暗闇に変じていく様は、実に美しい魔力めいたものがございまして、主人公たちに共感を覚えずにはいられません。
また、これは一種の観光映画としてもお楽しみいただけるかと存じます。
ことに序盤に登場するタオルミナのホテルで、登場人物たちが名物の「海の幸のパスタ」を平らげる場面では、私もついついお腹が鳴りそうになってしまいます。
上映時間も168分とずいぶん長い映画ではございますが、もし機会がございましたら、皆さま方もぜひご鑑賞くださいませ。
夏の日差しをお感じになり、かじかむような冬の寒さをお忘れいただくことができましたら、司馬も幸いでございます。
では、長々と個人的な趣味のお話をさせていただきました。お許しくださいませ。
今回はこの辺りで失礼いたします。皆さま、体調などお崩しになりませぬよう、くれぐれもご自愛くださいませ。