冬の入り口

司馬でございます。
皆さま、お健やかでいらっしゃいますか?
そろそろ寒風も強くなってまいりました。庭園の木々は、いまだ紅葉の名残をとどめておりますが、やがてすっかりと葉を落とし、もうまもなく冬の光景を現わすことでございましょう。


寒さも厳しくなり、生来不精者の私は、外に出かけるのも億劫となる季節ではございますが、寒くなれば寒くなったで、またいろいろと楽しみもあるものでございます。
冬となると、さまざまな食材も滋味が増してまいります。とくに魚介類などは脂ものりだして、鍋物など格別な味わいと申せましょう。また、大根や葱などの冬野菜もその本領を発揮し、豊かな風味で舌を楽しませてくれます。
マグロのぶつ切と輪切り葱の「ねぎま鍋」や、時代小説の大家・池波正太郎氏の作品にもよく登場します「大根と浅利の小鍋だて」などは、私もたいへん愛する鍋物でございます。
さて、当家のフットマン達は、様々な地方より集まっております。この冬は、ぜひとも地方の名物料理でも教えてもらい、大勢で鍋でも囲むことにいたしましょうか。

もちろん、お嬢さま方のお夜食にも温かな鍋は欠かせません。
今宵のお夜食は、ブイヤベースをご用意するよう、厨房に申しつけておきました。
どうぞ、一刻もお早くご帰宅くださいませ。

それでは、今回はこの辺りで失礼いたします。