四月

お嬢様、お坊ちゃま、ご機嫌麗しゅうございます。

読書が大好きな卯月でございます。

さて、春は出会いの季節と申しますが、お嬢様、お坊ちゃまは良き出会いはございましたか?

私は、素敵な作品に出会うことができました。

主人公は、舞台に立つ役者の卵でございます。
幼い頃に憧れたステージに立つ為に努力を惜しまず、仲間と一歩ずつ成長できる真面目な性格で、壁にぶつかり苦難することがあっても決して諦めることはない熱意あふれる青年でございました。

一つの目標に向かい真っ直ぐ走り続ける、自分の全てを賭けてしまえるその青年に憧れを抱きました。

私も彼のようになりたい、と。

しかし、現実はそう甘くはございません。
困難を乗り越え成長を遂げた彼であっても足を止めてしまい、自身が描いた道のりの遠さに気圧されて、後ろを振り返ってしまうことがございました。

簡単に言えば、新しい舞台の練習中に自身の実力不足に気づいてしまい、さらには周りとの圧倒的な差を目の前で見せつけられたのです。

涙を流しました。

私も、彼も。

しかし、そこで諦めるような主人公ではありませんでした。

まだまだ駆け出しの自分の実力が足りないのは当然のこと、ここで挫けているようでは憧れたステージは夢のまた夢。

挫折するなら出来ることを全部試してから挫折する。

足を止めてしまった主人公がまた一歩前に踏み出した時、私はこの作品の虜になっておりました。
正確にはこの作品の主人公に、でございます。

物語は舞台の大成功で幕を閉じました。

手に汗握る、だけでなく頬を涙で濡らす作品に出会えたことは私にとって何よりも素敵なことでございます。

春は出会いの季節と申しますが、お嬢様、お坊ちゃまは良き出会いはございましたか?

ぜひお屋敷にご帰宅の際は、素敵な出会い(物語)をお聞かせくださいませ。楽しみにお待ちしております。