旅立ちのごあいさつ

ご機嫌麗しゅうございます、椿木でございます。

まずは能見とのワインデー、また荒木田と考案し時任執事とお届けしたカクテル、沢山のご用命をいただき本当にありがとうございました。

そして突然のご報告となりましたこと、申し訳ございません。

いざ書き記しておりますと、自分でも不思議な感覚でございますね。

理由は単純でございます。

もっとワインを知りたくなったから。

こちらに尽きます。

折角ですから、少しだけワイン好きとなった成り行きをお話しましょう。

元々私はワインはどちらかと申し上げますと苦手なお酒でございました。私自身お酒がとても弱かったというのもございますが、何せ白は酸っぱいですし赤は渋くて度数は高い、何が美味しいのか一切理解が出来ませんでした。

そこから暫く間があき、年越しを1人外で過ごすことになりました日、ふとワインバーで新年を迎えようと思い立ちました。

理由は単純でございます。

1人ワインバーで年越し、何かかっこよさそうでは?

曰く、ただのイキりでございます。

ですが人生を掛けてもいいと思えるきっかけとは、得てしてそのようなものでございます。

衝撃でございました。

その時いただいたのは赤のシラーと、豚ひき肉とマッシュポテトのグラタン、そのペアリングに心震えたのでございます。

美味しい

難しい事なんぞ分かるはずもございません。

ソムリエがよくワイングラスをくるくる回し、様々なフルーツやお花、スパイスの香りを口にしますがそんなもの1つも知らぬ私がただ美味しい、この一言に、その感覚に痺れたのでございます。

そこからはご存知の方もいらっしゃいますでしょうか、初めはボルドーもブルゴーニュも知らぬ私でしたが、今はこうしてワインデーを担当させていただける程にはお屋敷にて勉強と経験を積むことが叶いました。

人とは己が感動したものに熱を感じ、考え、伝えていきます。

どれだけ知っていても、知らなくても、ただ感動した、それだけで十分でございます。

故に私はもっと上を目指すためにお屋敷を離れることを決心いたしました。

いつか本気でコンクールを目指すのもまた良いかもしれませんね。

 

お屋敷では本当に多くのことを学ばせていただきました。

ここでの時間は間違いなく私の人生において欠かすことの出来ない時間でございます。

そういえば、正式な認定はまだではございますので少々フライングでございますが、ティーインストラクターの試験を全てパスいたしました。

最近ではワインにばかりではございますが、お屋敷にて大旦那様に拾われたきっかけは紅茶でございますのでそちらも頑張っていきとうございますね。

併せてホテルレストランサービス技能士の2級も取得いたしました。

え、今?と思し召されるかもしれませんが、ティーサロンを旅立つその日まで全力で給仕に向き合いたいという私のわがままとして、お許しいただければ幸いでございます。

これから先お傍でお仕えすることは叶いませんが、今までの多大なる感謝と、これから先のお嬢様、お坊ちゃまに幸あらんことを、陰ながら祈っております。

 

椿木