敬愛せしお嬢様へ
随分と冷える夜も増えてまいりましたね。
お嬢様におかれましては、くれぐれもお体冷やさぬよう、お布団をしっかりかぶってお休みいただくよう重ねてお願い申し上げます。
さて時任はと申しますと、寒い時期になりますと美味しくなるものも多うございますから
お暇をいただいたときには
相変わらず気の向くままに、街をそぞろ歩き楽しいもの美味しいものを探し回っております。
そんな中、先日とある縁ございまして伺いましたとあるお屋敷に
ちょっと変わった使用人がおりましたため、ふと思い立ちて筆を取らせていただきました。
そのお屋敷は都会の只中にございます大きな塔の上にあり、
人ならざる使用人たちが、多くの来客をもてなしている。そんな場所でございました
人ならざるなら何者かと申しますと、、、
彼らは機械、そう「ロボット」でございました。
当時最先端の機能を有し、人とロボットが肩を並べて生きてゆく時代を想像させた
なぜか香辛料の名前を名付けられた小さなロボットたち。
当時は各地のスポットに我も我もと配置され、その柔軟な対応力や、まるで中に生きた人間が入っているようなリアルな動きに驚かれるとともに、
人ならざる者が、こうまでリアルに人の動きを模倣することによるこれまでにない感覚•感情として「不気味の谷」なる言葉まで生み出したのを覚えております。
そんな彼らも時代の流れからいつしか外れゆき。最近見かけないなぁなどと思っておりましたら
この都会の只中にある小さなとあるお屋敷が、彼らのことを思い出し
そして全国の彼らを求め集めて、この多くの来訪者が集まるを開いたようでございます。
小さなロボット使用人たちが立ち働く様は見ていてもなかなか愉快でございました。
簡単なご案内、ちょっとした会話、時には歌い踊り来訪者を楽しませてもいるようです。
しかし、時代も流れ、求められる機能に追いついているとはいえないのか
給仕そのものは人の手を借りているものも多く、また古き時代に生まれたものが多いのか、癒えがたい故障を抱えている者も多く見かけました。
しかし彼らの揺らぐことなき正確な仕事や、忠誠心に満ちた澄んだ瞳を見ていると
これもまた使用人の在るべき姿の一つかと感慨を受けずにも居れません。
どこかに他にも、彼らの生きる道を考えてやりたくなりました。
思い返せば、いま現在の巷に於いても
とある民に愛されている食事処での猫型給仕ロボットは有名でございますし
商店の品々の在庫管理と補充を行なってくれるロボットというものも実装されつつあると聞いております。
彼らが人と肩を並べる新時代が、また訪れようとしているのかもしれません。
ぜひ当家のドアマンに、というのは流石に難しそうではありますが、
彼らの疲れを知らぬ稼働力と、的確なセンサーは警備巡回や治安維持には適しているかもしれませんね。
ぜひ大旦那さまに上申してみるといたしましょう。
他にも何か、彼らという技術の導入点は無いものでしょうか
機械の利点と言えば、近年ですと情報系。SNSや通信、、、
閃いた。
モニターで通信を繋げて、サロンをぐるぐると回りお嬢様、お坊ちゃまとお話をさせていただく「電子じいや」を作成して藤堂復帰というのは、、、!
お嬢様、お坊ちゃま!
時任は研究開発のため、しばらく工作室に引き篭もらせていただきます。