感謝と謝罪

健やかにお過ごしでいらっしゃいますか?
宗近でございます。

お屋敷に参って二か月余、時々お嬢様にお声をかけていただけることがございます。

「宗近はそろそろお屋敷に慣れてきた?」
「頑張りなさい。」

と、お気にかけていただくお言葉です。
かような温かいお心遣いを賜るたびに一層励まねばと、とても気持ちが前向きになります。
ありがとうございます、お嬢様。

そしてまだまだ未熟な私が執務を遂行できるのは、折につけ気に留めてくださる使用人の方々のお力添えが大きく感謝の念に堪えません。

私は素晴らしいお屋敷にお仕えできておりますね。

 

またお仕えするなかでお嬢様より多く賜るもう一つのお言葉がございます。

「宗近は何か音楽をやっているの?」

恐らく私の風貌が音楽の教科書に掲載されている楽聖のお姿を彷彿とさせるせいもあるかと存じます。

……お嬢様のご期待に応えることがかなわず大変心苦しいのですが……。
私は楽器演奏、創作等の才能、技術は幼少の頃より皆無でございました。
非才の身をお赦しくださいませ。

しかしいつの日かティーサロンに据えられたピアノでお嬢様のお心を癒して差し上げることを目標に、まずは次の賜暇に何か楽器でも探してまいりましょう。
まずはカスタネットあたりから。