時計の針

藤堂執事が今月をもって勇退いたします。
とてもとても長い期間執務を共にいたしましたので、感慨深いものがございます。

藤堂執事のお顔を拝見出来るのもあと数日となりますと寂しいものでございますね。

ですが、彼もわれわれの寂しそうな表情は望んでいないと思いますので、笑顔を最後まで送りたいと思います。

どうかお嬢様も藤堂執事を笑顔で見送っていただけましたら嬉しゅうございます。

一緒にお勉強をした記憶、イタリアンを食べた記憶、縁のある居酒屋様に連れて行っていただいた記憶、どれも大切な時間でございました。

時は戻せません。

ですが、藤堂執事にお顔を見せてくださる事をきっかけにしばらく遠出をされていたお嬢様。

久しぶりにあの時の時計の針をもう一度動かしてみませんか。

今を十二分に味わってまいりましょう。