たまには、シェイクスピア

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

五月の初めに訪れます、毎年恒例の大型連休。
いわゆるゴールデンウイークでございますが、これは映画興行の観客動員キャンペーンから名づけられた、というのが由来だそうでございます。

昨今、映画は劇場よりも配信サービスでご覧になられる方も多いようでございます。
司馬は断然、劇場派でありまして、そもそも映画というものは大スクリーンでの鑑賞を前提に創作された大衆娯楽作品。
・・・というのが、われながら古臭い持論でございます。
しかしながら、配信サービスの充実により、なかなか接することのできなかった名作がたやすく鑑賞できるようになったのも、これはこれで歓迎すべき状況でもありますね。

さて。
新緑の香りも喜ばしい五月におすすめしたい、そんな隠れた名作がでございます。

「から騒ぎ」・1993年

原作はシェイクスピアの戯曲から。
ケネス・ブラナー、デンゼル・ワシントン、キアヌ・リーヴス。
「クルエラ」で印象的な悪役を好演したエマ・トンプソン。
その他、豪華な俳優たちの総出演。
ロケ地となりましたトスカーナ地方の光景は、まばゆい陽光、オリーブやブドウの木立があいまって、じつに開放的な印象を与えます。

冒頭、ままならぬ男女の心情をつづった一編の詩の朗読から、領主一族のにぎやかなピクニック風景が描かれます。
そこから急な知らせを受けて、戦勝を挙げて帰還してくる兵の一団を迎えるため、慌ただしくも陽気に支度を整えていく一連の流れ。
快活な映像のテンポと、登場人物たちが見せる底なしの笑顔は、生きる喜びと輝かしさが伝わってまいります。

シェイクスピアの戯曲と申しますと、やや堅苦しく、ハードルの高いものと感じられる方もいらっしゃるかと存じます。
こちらも映画作品のわりには、少々長くて、こみいった台詞が多く感じられるかもしれません。
原作に忠実なままですと、これはどうしても避けがたいことではございますが。
しかしながら、意地を張り合う知的な大人の男女。ある事情から不幸なすれちがいをする若い二人。
この二組のカップルが無事に結ばれるまでのドタバタを描いたラブ・コメディとして、軽い気持ちでご覧いただければ、充分にお楽しみいただけるのではないでしょうか。

ジメジメとした梅雨がやって来る前の、短いながらも快適な季節。
この作品の爽やかな味わいは、格別なものとなることでしょう。
ご興味をひかれましたら、ぜひご鑑賞のほどを。
お気に召していただければ、これに勝る幸いはございません。

 

では、ティーサロンにて、いつも通りにご帰宅をお待ち申し上げております。
よろしければ、ご感想をぜひお聞かせくださいませ。