お寛ぎ中に失礼いたします、お嬢様。
隈川でございます。
お嬢様、本日はシェフがご夕食に和食をご用意するとのことでお味噌汁のリクエストを伺いに参りました。
わかめ、おとうふ、きのこ、大根、キャベツ、玉ねぎ…etc
なんなりとお申し付けくださいませ。
…え?
お味噌汁ではなく豚汁が飲みたい、ですか。よろしいですね。
畏まりました!シェフにお伝えしておきます。
それにしてもお味噌汁の具ひとつとっても正解なんてございませんし、選択肢は無限でございますね。
人生とはまさしく選択の連続。
今、お嬢様はまさしく未来をご自身で選ばれたのですね。
いえいえ、大袈裟などではありません。
例えば、街にあるおおよその物は、アイデアの選択、それを採用する決断の選択、実現するための技術の選択、それらの上に成り立っているのです。
つまるところ、お嬢様の先ほどの豚汁を召し上がるという選択が巡り巡ってなにかしら大きな影響を及ぼすこともあるかもしれませんよ。
…え?そんなことよりアスコットタイに染みがついているわよ、ですって?
ああっ!これは失礼いたしました。
先ほど配膳用にお醤油を運んでいたときにハネたようです!
選択について語るより洗濯が優先のようでございます。
シェフにリクエストをお伝えして、お洗濯に行って参ります!
失礼いたします。