敬愛せしお嬢様へ
夏の暑さが少しづつ本格化して参りましたね。
アイスティーの美味しい季節ゆえ、当家ティーマイスターも今年の茶葉に合わせたレシピの見直しに余念なき様子でございます。
お嬢様におかれましては、サロンではもちろんのこと、お散歩中や社会勉強中なども、こまめに水分をお採りいただき、熱中症予防にお勤めくださいますようお願い致します。
さて、そんな夏の日々でございますが
先日、夜遅くに所用から戻りまして、とある近隣の河川付近を一人歩いておりました。
川の音と水面からの風が心地よく、
良き夏の夜よとゆっくり歩みを進めておりましたら
ふぃ、と。
青い小さな光が鼻先を横切りました。
そのまま、その小さな青い光点は、
私の眼前をゆらゆらと飛び回っておりました。
あまりに綺麗で。そして風流なき話ではございますが、あまりに生命感の無い機械的な光だったもので
はて新手のドローンか携帯機器かと
正体がさっぱり掴めぬままその光を眺めておりました。
光は誘うように私の前をゆらゆら飛び回ったのち
川縁の庭園にフラりと舞い降り、その羽を休め始めました。
「あぁ、蛍か。」
蛍を見たことがないとは申しませんが。
博物施設や尾瀬などの名所に見に行くでなく
このような町中で突然遭遇すると言う経験はなかったもので
しばらく呆然とその光を眺めておりました。
見れば見るほど不思議な青い光。
昔の方々が、この光に様々な神秘を見いだした気持ちも良くわかる気がいたしました。
…それはそれとして、暗くて写真が撮れません。
神秘に魅せられながらもカメラは用意してしまう辺り、私も現在に染まっているなぁと思いつつも。
あれやこれや工夫してその姿を収めてまいりました。
明るくしたら青い光が見えなくなったので、あまり意味がありませんでしたが。
いつかまた。
この不思議な光をお嬢様にも今一度お見せしたいものでございます。