少しばかり手間のかかる筆記用具、それが万年筆です。
いかがお過ごしでしょうか。
伊織でございます。
ギフトショップにてご用意いたしました「Scripta manent(スクリプタマネント)」で、初めて万年筆に触れた、というお嬢様もいらっしゃることかと存じます。
使い慣れたボールペンやサインペンと比べますと、少しばかりクセがあるのが万年筆でございます。お使いの上でお困りだったりいたしませんか?
初めての万年筆でつまづきやすいポイントをいくつかご説明いたします。
●インクが出ない1
使い始め、インクカートリッジを差しただけでは、すぐに書くことができません。しっかりとペン先にインクを送り込む必要がございます。
インクは少しずつ、自然とペン先へと供給されますので、ある程度待っていればインクが行き渡って書けるようになります。しかし、なかなかインクがペン先まで届かない場合や、すぐに使いたい場合は、インクカートリッジの中程を何度か軽く押してインクを押し出してみてください。力を入れすぎると、インクが飛び出す可能性がございますから、あくまで軽く押してください。
●インクが出ない2
久々に使ってみようと思ったら書けない……ペン先内のインクが乾いてしまったのかもしれません。万年筆のインクの多くは乾きやすい性質をもっています。しばらく使わないとインクが循環せずに乾燥してしまっている可能性があります。
一度インクカートリッジを外し、ペンの中を洗うことで再び書けるようになります。
インクカートリッジを外したペン先をぬるま湯か水の中に浸し、しばらく置いておきます。
数十分~数時間おいておくとペン先内のインクが水で溶けだし、水が濁ってくるはずです。水の中で優しくペン先を揺らして洗ったり、流水に晒してペン先を洗ってみましょう。水が濁らなくなれば完了です。
柔らかい布やティッシュペーパーで優しく水気を拭き取りましょう。
インクカートリッジを改めて装着し、しばらく試し書きを繰り返してください。
初めは薄かったインク色も、水が抜けてくると本来の色が戻ってまいります。
できることなら、インクが乾かないよう、毎日少しだけでも万年筆で書かれることをお勧めします。ぐるぐるペン先を走らせるだけでも結構ですが、日記を書くことが日課であればぴったりですね。
同じ形のインクカートリッジであれば、付属の黒だけでは無く、好みの色でお使いいただくことができます。インクの色を変える際も、上記と同じように一度ペン先に残ったインクを洗い流し、きれいな色で書けるようにしましょう。
簡便な筆記用具は多々ございますが、自分の道具として手入れを必要とするある種の不便さは、愛着にもつながってまいります。
丁寧に手入れをされ、永くお使いいただけましたら幸いです。