さつき

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

五月は皐月に始まりまして、
五月雨ですとか何となく響きがいい
言葉が多いイメージがございます。
旧暦の上ではどうやら六月のことを指すようですが、
現代を生きる我々にはあまり関係ないのかも知れません。

五月雨自体も梅雨の雨を指す季語にございまして、
そう思うと気温の変化に一喜一憂しておりましたが、
そんな時期なのだなぁ感じますし、
実のところ夏はもうすぐそこに
近づいているのだなと感じるのです。

話はズレるのですが
先日久しぶりに読書熱が再燃致しまして、
本屋に赴きました。

私が本を選ぶ際、
勿論書庫で本を手に取る理由もそうなのですが、
タイトルや装丁につられてということが多くございます。
シンプルに言いますと「ジャケ買い」ですね。

そこで惹かれた一冊。

ロバート・A・ハインライン著
「夏への扉」

にございます。
ハインライン氏はSFの大家として
有名な方でありまして、
(アイザック・アシモフ氏やアーサー・C・クラーク氏と並ぶ、世界三大SF作家)
この著作も一般に名著として名高い一冊です。

近年では舞台化。

今年は映画化なども控えておりまして、
新装版も刊行されております。
1957年に出版された本ではありますが、
長く広く親しまれております。

私としては
存在は知っていたものの
触れていなかった一冊でございまして、
この初夏の香りが漂い始めた季節に
ほだされ、タイトルに惹かれ手に取りました。

“ ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。 ”

あらすじを引用させて頂きました。
やはりこの小説の読みどころの一つは、
愛猫・ピートの存在です。
どこか放漫で、時に愛らしく。
でもドライジンジャエール中毒だったり。
人間味と猫らしさを併せ持った、
物語のもう一方の主人公。いや主猫。

SF小説としても
タイムスリップ系小説のはしりと
言われているものでありまして、
楽しんで頂けるかと。

コールドスリープというもの自体が、
昔よりも現実感を帯びてきておりますから、
そこもまた面白く思って頂けるのでは。

それも古典SF小説をお読み頂く際の
楽しみ方の一つかも知れませんね。

是非ピートと共に、夏への扉を探してみてください。

夏というのは私の中ですと、
幼き頃の眩いばかりの思い出という
印象がございます。
忘れかけていた大切なものが
そこにはあるかも、なんて。

何か感じるものがあれば、
更に素晴らしい読書体験になりますよね。

中々娯楽というものが制限される昨今ですから、
是非ご活用頂ければと。

もしお読み頂けましたら、
ティーサロンにてご感想お聞かせくださいませ。
また別のものをお読みになりたいと
お考え頂けたなら書庫へ足をお運びくださいませ。
沢山候補をご用意してお待ちしております。

あ、ただご予定に余裕がある時に。
どうしても話が長くなってしまうのが
常のことてございますから。

才木