15周年

一進一退の寒さと暖かさの攻防が続く2月が終わり、
少しづつ訪れる春の陽気に心は少しばかり軽やかに感じて参ります。

さて早いもので、お屋敷も今月開館15周年を迎えます。
15年…長い様であっという間に過ぎ去った日々でございました。
これもひとえにお嬢様に日々お力添えいただいたおかげでございます。
改めて心より感謝申し上げます。

お屋敷にて務め始めたのがまだ20代のころでございます。
いつだったか、かつてのティーサロンについて触れたことがございましたが、
2006年 開館当初のサロンは今よりもずっと小さく、テーブルにして8台。
お席でも20席程度でございました。
給仕にあたるフットマンも3名と少なく、執事も一人で入り口を切り盛りしていたのです。
当時ティーサロンにつとめておりました使用人は私含め十数名でございました。
初めての執務故、毎日が手探りでお屋敷が閉館した後も皆であーでもない、こーでもないと議論したり、お給仕の練習をしたものでございます。
大河内とはよく、カップや紅茶について一緒に練習をしたことを覚えてございます。

そんなお屋敷に転機が訪れたのが開館数か月後の8月の頃。
一度大きく休館を頂き、ティーサロンの改装をさせて頂く事となりました。
頂いたお時間を活用し、新たにティーサロンへ使用人を迎え入れ、進化したSwallowtailとなる為、再び皆で勉強や、準備に精を出しました。
このころ、ティーサロンの執事として本宅からいらっしゃったのが藤堂執事でございます。一度私共の働きをご覧になるため、フットマンとしてテーブルにお迎えさせて頂きました際には緊張したものでございます。

無事改装を終え、大きなお屋敷にてお嬢様をお迎えさせて頂きましたのが10月。
でも実は今のティーサロンとはまだ少し異なった内装だったりしたのですが、その後も少しづつお屋敷の手入れを行い、今の形に落ち着きました。

お出ししているお食事も随分変わりましたね。
何と開館当時はデザートプレート2種とクリームティーセット、アフタヌーンティーセットというデザート類のみのご用意でございました。
改装後も軽食類をお出しする事になったものの、ディナーのお時間は無かったりも致しました。
使用人たちのお給仕の力もついてきました頃、満を持してディナータイムを新設させて頂きまして、とても感慨深い思いになったものでございます。

そうそう、今だから言えることですが、新しい給仕に戸惑い改装後初日のお迎えではお嬢様を1時間以上エントランスでお待たせしてしまった…という事もございました。
今のお屋敷の姿があるのも
よりスムーズに、より正確にお嬢様にお仕えできるよう研鑽を重ねて参り、
またそれを後世の使用人たちに継承してくれた全ての使用人の努力の結果であると確信してございます。

全てはお嬢様の為に。

15年を迎え、これからもお屋敷はお嬢様にお喜び頂けるよう、日々進化してまいます。
ただいまは大変な世の中でございますが、だからこそお嬢様のお屋敷でのお時間が
かけがえのないものとなるよう務めていくことが私共使用人の役目であると信じております。

どうか、いつまでもお傍でお仕えさせて頂けますと幸いでございます。