共に杯を掲げる日を待ちながら

夏はいつまで続くのかと、太陽を恨みがましく見上げるのと同じように。

この病禍はいつまで続くのだろうかと、

友人たちや仲間たちが拓いた小さな城のようなバーや、敬意を以て通い、多くのインスピレーションを得てきた素晴らしいバーが次々と門を閉ざしてゆくのを、まるで訃報を聞くような思いで受け止めつつ、思いを巡らせております。

もちろん、世の病禍の広がりを防ぎ、いつか終息を迎えるために、不必要な会食等は避けるべきでございます。
一方で、経済を動かし自粛期間に耐え抜いた庶民たちに救いの手を差し伸べていただく必要もあり。

全くもって今の世はアンビバレンツの渦中にあるようでございます。

私ごとき一使用人にできますことは
一人の民として出来うる限り感染の危機を避けながらも、一人の民として出来る範囲で、危機を避けた上で経済を回すことであり、

具体的には他にお客様がおられないバーで、主の愚痴を聞きながら、やや高いお酒を美味しく頂くぐらいでございます。

つまり。

今宵の深酒は社会のため。
決して私心はございません。

たとえ迂闊にも、クリームチーズとトラピスト系黒ビールの美しすぎるマリアージュに心奪われて、お代わりが止まらなくなってしまっていても。

ええ。あくまで社会への奉仕に過ぎませんとも。
あ、なのでお代わりお願いします。あ、クリームチーズとクラッカーもね。

小さかろうが大きかろうが、
挑んだ夢に貴賤はございません。

願わくば僅かでも
彼らの救いが多く在りますように。