ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。隈川でございます。
お嬢様はタイムスリップをなさるとしたら過去と未来のどちらにおいでになりますか。
現実的ではない戯言と思われるかもしれませんが、たまに大旦那様のおともを仰せつかり馬車に乗っておりますと「このまま馬が加速していけば蹄が炎の轍を作り時をかけるのではないか」と夢想することがございます。(御者がそのような荒い運転をするとは思えませんが)
ちなみに、お聞きしておいてなんですが私はなんとも決めかねます。
確かにいっそのこと消えてしまいたいような失敗も重ねて生きて参りましたが、それを今更やり直そうという気にもなりませんし、逆に未来になんて行こうものなら便利な技術に骨を抜かれ現代に帰りたくなくなってしまうでしょう。
…強いて申し上げるならば、恐竜を見に行きたいくらいでしょうか。
あ、そうだ。
お嬢様がおいでになる方について行くことにいたしましょう。お嬢様がいらっしゃる時代が私にとっての現代とすれば悩むこともございません。
さぁ、お嬢様。いつどこへ参りましょう。
隈川