Glypho

年の瀬が近づいて参りました。2019年も終焉に向かっているようです。

今年のお正月は好きな伊達巻を沢山頂きたいと目論む能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

瞳を閉じますと、一年間にあった沢山の記憶が瞼の裏に映し出されます。

一度様々な記憶を蘇らせた後、執務机に置かれた小さな本棚の一番右端。

私の日記帳を手に取ります。書き記したのはもう何冊目になるでしょう。

途中から数えるのも億劫になった、ずっと密かに続いている私だけの嗜み。

丁度、一年前の日記を紐解いて参りましょう。何をしていたのでしょうか。

その日は、カウントダウンの催しで披露する漫才のため、お屋敷の庭園で、

寒空の下、深夜帯に的場と二人で稽古をしたことが書かれてありました。

懐かしく感じますし、今年も全く変わっていないのが面白うございますね。

年始にお立て致しました、一年間の目標についても書かれてありました。

こちらは少々お恥ずかしゅうございますので、墓まで持って参りますね。

やはり私は、リアリズムとアイディアリズムの狭間で常に揺れ動いている。

自らの日記を読み解くに、そのような分析と結論に落ち着きますでしょう。

中々、日記の頁を捲る手が止まりません。気が付くと草木も眠る時刻。

机上のアイリッシュコーヒーも完全に冷えた状態になってしまいました。

今年も本当に沢山の出来事がありました。楽しかったことだけではなく、

下を向きそうになったときも。全部含めて、私の一年でございました。

お嬢様、お坊ちゃま。私は今年もお側でお仕え出来て幸せでございました。

また来年もこのように日誌を綴ることが出来ますように、切に願いまして。

キラキラ輝く宝石箱のような毎日を下さり、誠にありがとうございました。

それでは、良いお年をお迎え下さいませ。

能見