ご機嫌麗しゅうございます、隈川でございます。
私事ではございますが、10月に入り私の使用人人生も7年目に入りました。まだまだ至らぬところ多く、お恥ずかしいかぎりでございます。
思い返しますと、屋敷に勤めたばかりの頃は先輩にあたる使用人たちの一つ一つの所作に憧れ、同期や後輩たちとともにああでもない、こうでもないと切磋琢磨したものです。
それでもなかなか理想には手が届かず、先輩に叱られ自分自身の駄目さに辟易する毎日。
でも、そんなある日。
とある執事が1日の給仕の始まりにこんなことを言いました。
「隈川君と一緒の玄関を担当するとお嬢様も笑っていて、お迎えのしがいがあるよ」
その言葉を頂いたとき、どれだけ喜びに胸が高なったことか。
その執事からしたら軽い挨拶のようなものなのかもしれません、もう覚えてもいないかもしれません。それでも私はその言葉が心から嬉しくて、もっともっと頑張ろうと思えたのです。
私もいつの日か年月を重ね貴方のような経験豊富な素敵な執事になれますように。
…あーあ!もうご一緒できないと思うと寂しくて口元がにっこり上がっちゃいますね。
お世話になりました。
隈川