お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。
秋は何処、
あっという間に立冬を迎え、
いよいよ今年も終わりでございますね。
暑さが長く続きましたから、
寒さもより厳しく感じそうです。
こういった時こそ、暖かい飲み物が、美味しくなるなぁなどと、
自室で物思いに耽っておりましたら、佐々木が近寄って参りました。
「才木くん、丁度いいものがありますよ」
「三郎、顔がにやけてますけど、どうしたんですか」
「確かに冬は寂しくなりますね……やかましいわ! まぁ、飲んでみてください」
そう言った佐々木は、
真っ白なベッキオホワイトに
注がれた、紅茶を差し出して参りました。
「この芳醇な香り……ブルーベリー……」
「更に、アップルビーツカットや、ブラックベリーリーフも入ってございます」
「私はお嬢様ではないですよ……どれ」
うまい。
小さく呟いた私に、
佐々木は満足そうな顔をしておりました。
「ミルクを入れるのも、オススメでございます」
「私はストレートの方が、好きですけどねぇ」
ともかくとして、
甘い落ち着きのあるブルーベリーの香りと暖かい紅茶は、
確かに私の求めていたものです。
「待て待て待てーい!」
突然、討ち入りかと思われるような、大きな声が部屋に響きました。
「お前は」
二人の声が揃います。
「「二郎!!!」」
「浪川です」
浪川でした。
「どうしたんですか、急に」
「浪川くんも飲みますか? 佐々木の紅茶」
「いえいえ、某、それにうってつけの茶菓子を、持って参ったのです」
浪川は少し引きづっております。前世の記憶でしょうか。
「これは……紫……ですね……」
「私のケーキと似たような色じゃないですか?」
佐々木のブルーベリーレアチーズケーキ、美味しく召しあがって頂きありがとうございます。
「全然違います! これは! 紫いも!」
「「タルト!!!」」
またもや声が揃ってしまいます。
タルトなことだけは、私達二人にも分かっておりました。
「その紅茶……PSGと、この紫いものタルト、絶対あいます!」
「紫いもとブルーベリーあうんですかね、いや、でもそもそもマリアージュというのは、合わなそうなものを合わせてみるという楽しみもあって云々」
浪川と佐々木の声と気持ちが揃います。
「話が長い」
「うるせえ」
私達は、試してみましたが、
やはり皆様には、ティーサロンで
お試し頂くのが一番かと存じます。
とっても美味しゅうございました。
とだけお伝えしておきます。
ようやく浪川のケーキが、
お出しできることになり、
同期三人の味が揃います。
お給仕しだした頃には、
考えもしませんでしたが、
やはり嬉しいものです。
そう、今は、ペンギンクッキーも
ございますからね!
丁度いいお口直しになりますね。
私の紅茶もそろそろ。
それはまた次の日誌で、
お話致します。
皆様、どうかご体調にはくれぐれもお気をつけて。
私達それぞれの味をお楽しみ頂ければ、幸いでございます。
ティーサロンにて、
お早いご帰宅をお待ちしております。
才木