お嬢様、おぼっちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。
さて、10月。
10月といえば、皆様何を思い浮かべますか?
近頃は、ハロウィンもあり、
お屋敷でもパーティーがありましたり、
内外問わず色々ございますけども。
私としては、あまり馴染みがなく。
なのでそういったお祝いを、
皆様とともにさせて頂けるのも、
中々楽しゅうございます。
元来ですと、特徴のない月。
変わり目の時期で、移ろい変化していく、
自然に思いを馳せる時期ですね。
日本的には、神無月でございますから、
何か他の月にはない、
ひっそりとした雰囲気が漂うものです。
賑やかな時間を楽しんで頂く、
これも一つ大事なこと。
しかし逆に、
穏やかなお時間をしっかりと
過ごして頂く。
これも大事なことでございます。
そんな時間の為に、
我々使用人はお傍に仕えておりますから。
なんなりと、ご用命ください。
私としては、
書庫の少し古臭いような、
蔵書たちが放つ香り、
それこそ八百万の神がおられそうな、
静謐な空気。
その中に居る時が1番、好きでございます。
もし活字を追うような
ご気分でない時は。
アポロンでもいれながら、
ジャック・オーランタンのお伽噺でも、
お読み致しましょう。
私、ホラーも嗜みます故。
思えば、神がいないということは、
魑魅魍魎が跋扈する季節。
ということでもありますね。
皆様の見えない、後ろの世界。
ご想像して頂くのも、楽しいもの。
大丈夫、後ろにお控えしているのは、
我々使用人でございます。
我々は、皆様の影に、ございますから。
才木