司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?
若葉の季節でございますね。
庭園の緑も鮮烈そのもの。瞳に染みこんで、心を清浄にしてくれるようでございます。
初夏とはいえど、さほど暑すぎもせず、ほどよい陽気が続いておりまして、まことに過ごしやすい時季でございます。
環境も変わりやすく、多少は慌ただしくなる四月も終わりましたが、皆様方、この快適な五月を、心穏やかにお迎えでいらっしゃいますか?
新しい環境に戸惑いつつ、まだまだ落ち着かない毎日が続いている方も、いらっしゃるかと存じます。
しかしながら、たいへんな日々も、きっとあと少しでございますよ。
どうぞお嘆きにならず、せめて美味なるものでもお召し上がりになって、元気を補給してく
ださいませ。
さて、この時季になりますと、常に心を悩ませるのが、一日の疲れを癒す一杯をどうするか、ということでございます。
よく冷えたビール、というのもよろしいのですが、まだ夜の空気はすこし肌寒く感じられることもありまして、そのような時には、あまりふさわしくはございません。
最善なのは、大河内や時任に一任して、自慢のカクテルを作ってもらうことなのですが、お嬢さま方にお仕えしていて手が離せないことも多く、親しい仲といえども、なかなか頼みづらいものでございます。
まあ、今宵は切り子細工の杯に、冷たい日本酒を注いで、ささやかな宴を催しましょう。
肴は・・・。
悩みどころでございますが、あまり手間もかかりませんし、豆腐でも用意することに致しましょうか。
冷や奴と浅漬けなどがあれば、ささやかではありますが、私にとりまして充分な幸いと申せましょう。
――お嬢さま方の毎日にも、豊かな幸が訪れんことを。
では、今回はこの辺りで失礼いたします。