時任でございます。
先日まで暑い暑いと言っていた気が致しますのに、舞台の幕が変わったかのように凍える日々が続いております。お身体の調子崩したりなさっておられませんか?
悪い風邪が流行る時期でございますから、くれぐれもご自愛いただき、ご飯も睡眠もしっかりとってくださいませ。
さて、そんなある冬の夜。
大旦那様の仰せのもと、当家におけるブルームーンのような、他のお屋敷の「別館」へと足を運んでまいりました。
横浜の地にございます、とあるスタンダートカクテルの元祖としても名高いその地は、港に程近い場所にあり、どこからか聞こえてくる聖歌隊の歌声に耳を傾けながら街路をしばらく歩くと、件の別館が見えてまいりました。
思いのほか小さなカウンターに陣取り一息つきまして、まずはジンフィズを頂戴致しました。
味のバランス、ステアとシェイクの技法を共に問われる、もっとも基本にして難しいカクテルでございますが、非常にバランス良く仕上がっておりまして感服致しました。
しばしジャズの演奏に耳を傾けながら、ゆっくりとした時間の流れを楽しんでおりました。
ジャズの演奏をなさっている方も他の来訪者の方々も、地元の年配の方が多く、永くにわたって愛されている場所なのだなぁと、強く感じてございます。
さて、次に頂きましたのは「ジャック・ター」。
強めのラム酒に、桃などを用いたウィスキー系のフルーツリキュール・サザンカンフォートを合わせ、ライムで酸味を持たせたカクテルでございます。
完璧でした。
リキュールの甘味とライムの酸味のバランス。ラムの香り。アルコール高めにも関わらず、喉を心地よく潤してくれる氷の状態と配分具合。
ああ。いますぐ自分でカクテルを作りたい。
アルコールの酔いよりも、刺激されたバーテンダーの本能に突き動かされながら、甘美な一杯を干し。
ついでに仲良くなった常連のおじいさんに二種類ほどカクテルを味見させていただき。
少々フラフラになりながらも、深く感謝を申し上げて別館をあとにいたしました。
実体験として学ぶことができた伝統の味、学べたこと。
早くブルームーンにて、お嬢様にお届けするカクテルに生かしたいものでございます。
ぜひ年が明けましたら、別館にもお戻り下さいませ。