司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?
少々ぼんやりとした夏も過ぎていきまして、秋の足音も聞こえてまいりました。
「食欲の秋」でございますね。
・・・なにか、毎年、この言葉を申し上げているような気もいたします。
とにもかくにも、暑さは一段落し、食べ物も日に日に美味を増していく時季でございます。
この季節には色々と名物がございますね。
ご承知のように秋刀魚と書いてサンマと読ませます。
お嬢さま方、こちらはお好きでございますか?
芸術作品では、小津安二郎が監督しました名画「秋刀魚の味」や、佐藤春夫の詩「秋刀魚の歌」などが殊に知られております。
いずれも、庶民の哀感というものに満ちた作品でありまして、お屋敷の皆様方とは無縁の世界ではないかとは存じます。
当然、そのような大衆魚など、お召し上がりになったことなどないと仰せられるかもしれませんね。
とはいえ、いくら庶民の味方であろうとも、美味なことに代わりはございません。
幸いにも、今月のお品には、“秋刀魚と茄子のトマトパスタ”がございます。
当家のシェフは、わざわざ蒸し器でサンマのうまみや風味を取りのぞき、つみれ状の餡かけにするような無粋な真似などいたしませんので、これを機にぜひともお試しくださいませ。
きっと、「サンマはスワロに限る!」とお思いになられることでございましょう。
・・・この意味がよくわからないというお嬢さまは、当家きっての落語通、浅葱にお訊ねくださることをお勧めいたします。
季節の変わり目、なにかと体調が崩れがちでございます。
しっかりとお食事をおとりになり、どうぞ、ご自愛くださいませ。
では、今回はこの辺りで失礼いたします。