もうすぐお屋敷にも雨の季節がやってまいりますが、傘はお持ちでいらっしゃいますか?
環でございます。
さて、前々回はストレッチの話をいたしましたが、今回は太ももを細くするための道具を買いに行った話でもいたしましょう。
それはとある噂を耳にしたことから始まりました。
「この国には太ももにゴリゴリ当てるだけでモデルのように痩せるこん棒があるらしいよ。」
その言葉を聞いて私はハッといたしました。
なぜなら私、太ももが太いのが悩みでして…。
普段のスラックスではあまり太いと感じないかもしれませんが実は太いのです。
その噂を聞いた夜は眠れませんでした。
そしてワクワクを抱えながら数日…。
やっと迎えた休日の朝、朝日が昇ると同時に私はお屋敷から離れた街へとそのこん棒を求めて出かけることにいたしました。
お屋敷の門を意気揚々と開けようとした時、後ろから誰かの声が。
「環さん、どちらへ出かけるのですか?」
その声の正体は瑞沢でした。
ここで会ったのも何かの縁。
こん棒を買いに街へ向かう話をしたところ、思ったよりも食いつきが良かったため一緒に行かないかと誘いました。
そして街に繰り出した男二人。
側から見たらこの組み合わせはどんな関係に見えるのだろうか?と全く意味のない妄想をしている内に目的の建物へと着きました。
なにせ情報が少ないまま期待だけで足を運んだので、どの階にあるのかも分からず終い。
なんとなく予想だけでキッチンコーナーに行ったりDIYコーナーに行ったりとあちこち歩いて回りましたが、なかなか目当てのこん棒は見つかりません。
そんな中、瑞沢があるコーナーを見つけたのです。
『健康器具コーナー』
でかした瑞沢!
でもよく考えたら当たり前だろという無粋なツッコミは無視して、周りの人に聞こえるくらい大きな声をあげてしまいました。
しかしそこにあるのは我々の知っている器具ばかり。
こん棒らしいものが一つもありません。
あれでもないこれでもないと探している中、またもや瑞沢が何かを見つけました。
「環さん、これじゃないですか?」
そこには綺麗な足をゴリゴリしてる外国の人がパッケージのこん棒がありました!
でかした瑞沢!
値段も安価ですし、やっと見つけたという思いが私の購入欲を高めてゆきました。
しかし…。
「瑞沢、これだけ安価なのにしっかりしたパッケージのものがあるということはもっとすごいこん棒があるんじゃないか?」
「環さん?」
何か神様から啓示を受けたかのような発言に瑞沢は戸惑っておりました。
「だってこれが環さんの求めていたこん棒じゃないんですか?散々探しt……(省略)」
確かに目の前にあるのはこん棒。
でもこのこん棒を使っている内にもっと性能の良いこん棒の存在を知ってしまったら、また買う羽目になってしまうのではないか?
私の自室にこん棒は二つもいらない。
部屋にこん棒が二つもあって何をするのですか?
いらないからとあげたくても使い古されたこん棒を欲しいと手をあげる使用人などいないでしょう。
ならば初めから最高級のこん棒を買えばよいではないかと瞬時に判断したのです。
私はコーナーの隅々まで諦めずに調べました。
そして見つけたのです!
伝説のこん棒を…。
次回へ続く。