古谷でございます

ショートカクテルならば、「シャルルジョルダン」で参りましょう。

もしくは華やかに「エチュード」。

ドライに楽みたいご気分でしたら、「スーズギムレット」を。ハードシェイクでキリリと仕上げるのはいかがでしょう?

澄み渡る秋風の冷たさに切なさも覚える神奈月。

「君の悲しみに寄り添う」

10月の花リンドウは一本ずつ咲く姿からこのような花言葉を宿します。

野山に自生するこの花の根を原料に精製されたリキュールが存在するのをお嬢様はご存知でございますか?

そのリキュールの名は、

「スーズ」。

ほのかな甘味の後に迫ってくるビターなテイストが絶妙な、色合いは美しい黄金色を放つリキュールでございます。

霊薬を求めた錬金術士たち最大の遺産とも云われる薬草酒。

この薬草酒とはなんとも言い難い麻薬的な魅力を秘めたお酒だと存じます。

現にとあるリキュールに含まれるとある主成分には、マリファナに似た幻覚作用があるとされ、なんと製造禁止になったボトルも存在するほど。

そんな薬草酒でございますが、ゴッホやヘミングウェイといった名だたる芸術家もその魅惑に取りつかれ、こよなく愛飲していたと言われております。

スーズもまた同じく、ピカソが愛したお酒として有名で、彼が描いた様々な作品に登場します。

「君の悲しみに寄り添う」

麻薬的で少しばかり危険な魅力を漂わす反面、スーズを眺めているとそれはなんとも繊細でロマンチックなボトルにも想えます。

今宵はこの美酒のお味に酔いしれてみてはいかがでしょうか?

古谷