雨の匂いが夏を彷彿とさせる季節がやって参りました。
少しだけ派手な折り畳み傘を購入した能見でございます。
お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
正直に申し上げますと、梅雨の時期は苦手でございました。
雨が降り続く際の余暇を過ごす方法に限りが出て参ります。
バイクで出掛ける訳にもいかず、ただ茫然と雫を眺めるばかり。
願わくば来世は地中海性気候下に生を受けたいと考えておりました。
しかし、このままずっと梅雨を悲観的に捉える訳にも参りません。
私自身のネガティブな発想を転換する必要があると言えるでしょう。
雨を楽しむ秘訣。優しい雨音。美しい紫陽花。ひっそりと佇む蝸牛。
沢山ありますが、やはり私は虹を見る瞬間が最も好きでございます。
雨が上がった後、太陽光が水滴に反射して出来る光学的現象。
文字で言い表すと若干メルヘン感が希薄になってしまいますが、
それを差し引いたとしても虹が素敵であることに相違ありません。
さて、お嬢様。私から虹について一つ質問がございます。
「虹、何色でできていますか?」
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色。
聡明なお嬢様にとって簡単な問題であったと存じます。
私も同じく七色だと思っております。いえ、思っておりました。
果たして本当に虹は七色なのでしょうか。
世界各国の虹への価値観に目を向けることと致しましょう。
米国や英国において、虹は六色と捉えられているようです。
フランス、ドイツ、中国では五色。ロシアや東南アジアでは四色。
アフリカのアル部族では、何と八色だと認識されております。
虹は七色という概念はニュートンの虹の研究に由来しております。
私も同じく学校教育で教わった通り、常識だと思っておりました。
しかしこれは文化内の常識に過ぎず、絶対的事実ではありません。
様々な角度から主観的に考えてみるのも楽しゅうございますね。
さて、お嬢様。私から再度質問でございます。
「虹、何色でできていますか?」
能見