いよいよ年の瀬が近づいて参りました。
何故か理由もなくそわそわする能見でございます。
お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
冬が到来いたしまして、私のアリア号はお休みの期間に入りました。
しかし頻繁にアイドリングをしないとバッテリーが落ちてしまいます。
バイクという乗り物は色々と手間が掛かるものですね。
そういう点が可愛いところでもあるのですけれども!!
真っ赤なボディも今年は見納めかと思うと少し寂しくなります。
来年もよろしくお願いします、と気持ちを込めて洗車致しましょう。
先程汲んできたお湯も、放射により直ぐに熱量が失われてしまいました。
寒い季節がやってきたのだなあと改めて感じる所存です。
―― 最上の幸福は 一年の終わりにおいて
年頭における自己よりも よくなったと感ずることである ――
ロシアの文豪、レフ・トルストイの言葉でございます。
能見は年の終わりになるといつもこの言葉を思い出します。
1年前の自分より成長できたであろうか、と少し考えてしまうのも
センチメンタルな季節だからなのかも知れませんね。
少し淋しくなった寮の廊下を通り、能見は自室に戻りました。
ラプラス関数の証明の続きを、と筆を取ったところでございます。
突如、そのそわそわという感情の原因が脳裏を過ぎったのです。
『……来年はまさかひょっとすると、閏年なのでは……!?』
1年を365日と定めることで生じる時間的誤差。
4年に1度、『2 / 29』を設け、その修正を図るのです。
お嬢様、ご存知でいらっしゃいましたか!?
閏年!! 閏年でございますよ!!
人生のロスタイムです!!
能見