いつも通る散歩道。
通りに立ち並ぶアパートを横目に何気なく歩く私の視界の端に、いつもとは違う物がかすめました。
それは、日の光を浴びて、目を細め、フクフクと日向ぼっこをしております。
そう
私の大好きな猫です。
白い毛色で、唯一頭のてっぺんに、およそ味海苔を一枚乗せているかのように黒い毛が生えている、見方によっては大変面白いスタイルの猫です。
そして、香箱座り。
香箱座り、または香箱を組むとも言いますが、これは猫が前足を折りたたみ体の下にしまい込むようにして座る姿を指します。
その姿は、なんともいえない癒しを私に与えてくれます。
・・・ひよこ饅頭の様な姿を思い浮かべていただければ宜しいかと思います。
そもそも、香箱とは「香料を入れる箱」を指すそうで、室町時代から続く香を焚く「香道」に関係した物で、香道具一式が納められていました。
因みに機械式時計に用いられる「香箱車」もこの箱からきているのだとか・・・
猫を箱に例えるかつての人の感性に思いを馳せつつ、私はこの猫とコミニケーションをとることにしてみました。
まずは名前・・・
よし!『ハコ』にしよう!
そして、目を見てみる。
『なんだ、ここは俺(私?)のスペースじゃい』と言わんばかりの視線をぶつけてきます。
・・・あまり愛嬌の良い顔ではないようです。
つづいてハコの目線に姿勢を落とし、ゆっくりと近づきます。
これは私の体感ですが、猫には個別に『独特の距離感』が存在します。
パーソナルエリアとでも申しましょうか、我々人間も持つ「自身の空間」が明確になっている様で、ある境界から一歩でも近づこうものなら、逃げるか又は自分で移動し距離を調整します。
反対に、ある程度踏み込ませてくれるタイプの猫は、高い確率でコミニケーションが取れることが解ってきました。
ハコはというと、これがほとんど動じません!
ピクリと腿の辺りが緊張していましたが、顔に警戒の色はありません。
ゆっくり・・・ゆっくりと歩みを進めます。
心の中で敵意がないことを伝えるのも忘れずに。
そうするとハコが「にゃー」と一声泣きます。
手の届く距離まで来て、人差し指を1本、ハコの鼻元に伸ばします。
本能的にそれをスンスン嗅ぐハコ。
どうやら興味を持ってもらえたようです。
これで挨拶も完了です!
後はご想像の通り、ずっと『海苔』あたまを撫でて時間を過したことは言うまでもありません・・・