司馬でございます。
皆さま、お健やかでいらっしゃいますか?
七夕の時節がやってまいりました。お屋敷の玄関にも笹の葉が飾られ、願い事の書かれた短冊がさらに彩りを添えております。
皆さま方の願いがかないますよう、心よりお祈りいたします。
笹の葉の緑は、とても目に涼やかでございますね。
学問的には、笹と竹というものにほとんど違いがないそうです。笹の葉を眺めておりますと、私などは京都あたりの竹林の風景なども連想してしまいます。
竹林を通りぬけるそよ風を思うと、徐々に高まる蒸し暑さも、ある程度は消えてしまうようでございます。
さて今年も、お嬢さま方が暑さに参られてしまいませぬよう、いまからご準備をいたしませんと―。
そろそろお召物の浴衣のお支度や、庭園で行われる花火大会の手配にもかからなければなりません。
まあ、まずはとりあえず、立派な竹を一本切り倒してまいりましょう。それを半分に割って節を抜き、樋を作り上げなければなりません。
何に使うかとお尋ねでございますか?
もちろん、この樋で流しそうめんをするのでございます。
鮮やかな緑色の樋を流れる冷えた細麺に、薬味を利かせたつけ汁。つるつるとしたのどごし。いかにも暑さ解消にはぴったりでございましょう?
いかにも子供じみているとお笑いになられるかと存じますが、このような趣向でもわずかながらお喜びいただけて、暑気払いとなれば幸いでございます。
お嬢さま方がご満腹なさいますよう、大鍋一杯に麺を茹でなければなりませんね。
では、さっそく使用人総出でご準備にかかりますので、今回はこの辺りで失礼いたします。