司馬でございます。
皆さま、お健やかでいらっしゃいますか?
しばらく前には大雪が積もりましたが、皆さま、滑ってお怪我をなさいませんでしたでしょうか?不便な想いをなさった方々も、多くいらっしゃるかと存じます。
心より寒中のお見舞いを申し上げます。
先日の大雪の日は、使用人一同で庭園の雪かきや、屋根の雪下しをいたしました。
とは申しましても、力の余っておりますフットマンを、当家は多く抱えております。大旦那さまのお計らいで、私は“監督”という名目のもと、暖かい室内から窓辺の素晴らしい雪景色をただうっとりと眺めておりました。
―雪見とは あまり利口の 沙汰でなし
とは、江戸時代の川柳の一つでございます。
たしかに、わざわざ雪の野へ、凍りつくような思いをしてまで雪見に出かけるというのは、酔狂極まりない話でございますね。
しかし、このように暖かな暖炉のかたわらで、降りしきる雪の花を眺めるのは、たいへんに贅沢なことでございます。これで、片手に酒杯でもあれば、まず申し分ないのでございますが・・・。
さて、目の前には、元気一杯に雪かきをするフットマンたちの姿が見えます。おや、興に乗った誰かが、とうとう雪だるまを作り出しました。あれは・・・、茅ケ崎でしょうか?
ほおっておけば、雪合戦でもしかねない勢いでございます。そろそろ外へ出て、怪我をしないよう声をかけなければなりませんね。
どうやら、ゆっくりと雪見を楽しむわけには行かないようです。
ところで、雪のことを表す言葉に、“瑞花”というものがございます。
大雪は豊作の瑞兆と見るため、このような言葉が生まれたそうで、美しい響きを感じさせる、とても心地よい言葉ではないかと存じます。
なにかと不便な大雪にも瑞相を見出すのは、古人の偉大な知恵でございますね。そのような意味もあわせて考えてみますと、たいへんな雪の日でも、なにか楽しみが見つけられそうな気がいたします。
春になるまで、まだしばらく時間がかかるようです。再びこのような雪の日もあるかと存じますが、それでも楽しくお過ごしできるよう、司馬は心よりお祈りいたしております。
もちろん、決してご不便など感じさせないよう、使用人一同尽力する所存でございます。
この先、二月はバレンタイン、三月は雛祭りと、楽しい行事が目白押しでございます。どうぞ、良い冬の日々を―。
では、今回はこの辺りで失礼いたします。