次のプリンセス

敬愛せしお嬢様へ
夏の足音が早くも耳に届くこの頃、いかがお過ごしでございますか

先日27日には、私め時任とフットマン椿木にてワインカクテル「Pretty pop Prinncess」をご用意させて頂きましたが、驚くほど多くのご用命とお褒めの言葉を賜ることとなりました。
光栄の至にございます。ありがとうございました。

このカクテルをご用意することとなった始まりは、ほんの些細な日常でございました。
まだ新人でありながら向学心に溢れる椿木はカクテルにも興味を持ち
その独特ながら尽きることなき感性のままに毎日毎日、私の顔を見る度に
「時任執事、〇〇と〇〇を混ぜたら美味しいと思いませんか?」と投げかけてきていたのです。

曰く、紅茶とカルピス
曰く、赤ワインと醤油
曰く、コーヒーとタバスコ

「‥いや君、その組み合わせ味見してみたのかい?」
「してないです!でも直感で美味しい気がします!」
「帰れ。」
「え?まだ給仕中ですが帰っていいんですか?」
「還って良いよ。土にな。」

毎日毎日、感性のままに投げかけられるエキセントリックな組み合わせ。
そう申しますれば、遙か過去‥ビバレージユニットの創世記に使用人たちにカクテルの基礎を教えたときに、いっぱいに並べた様々な材料を自分の感性で混ぜさせるという実施授業を行ったことがございましたが‥‥
‥あのときこの子がもしお仕えしてしまっていたらば。。

しかし日々いろんな組み合わせを提案され続けますと、30回に1回ぐらいは心を揺らす提案もあるものです。
(なお、残りのうち15回はゴミ箱送り、14回は「それは〇〇というカクテルだ」という既存のレシピと被っているという塩梅でした。)

そんな心に触れた組み合わせを寄せ集めて生まれたのが、カクテル「pretty pop princess」でございます。
そう、あの日。真っ直ぐな瞳の椿木が放った、あの言葉から
このカクテルは始まったのでした。

「時任執事!赤ワインとヨーグルトを混ぜたら美味しいと思いませんか!」

‥‥いや、ちょっと面白そうと思ってしまったのが運の尽きでした。
試作に次ぐ試作、改良に次ぐ改良
我ながらよく無事まとめられた物です。
お嬢様の笑顔という報酬は破格でございましたが、しばらくお休みさせて頂くか、次回は自分で考えてもらいまし‥

「時任執事!日本酒とアールグレイを合わせたら美味しいと思いませんか!?」

お嬢様。

実話でございます。

 

 

 

 

 

乞うご期待くださいませ。