茜さす紫野行き標野行き

皆様、ご機嫌麗しゅう。
吉川でございます。
新たな元号を迎えた今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

去る二月のある日、道すがらリカーショップに立ち寄ってみると、レジ横の新入荷コーナーに見慣れない芋焼酎が並んでいました。
その名は『茜霧島』。
『黒霧島』や『白霧島』などの霧島シリーズで名を馳せる霧島酒造が1月と6月に出荷するという期間限定品です。
一時期は『赤霧島』が限定品的な位置を担っており、薫り高くて美味と評判でした。
その赤霧島も今では通年化し、次はこの茜霧島が「来る」のではないかと、その名前だけは聞き及んでおりましたが、実物を見るのは初めて、口にしたこともありません。
価格も手頃であったため、即購入。
晩酌の席にて開封し、さっそく味わいます。

おぉ!
これは!
洋酒のような甘美な香り!
そして、まるでトロピカルフルーツのような甘く爽やかな味わい!

濃厚で香り高い日本酒も「フルーティー」と評されることがありますが、どうしても醸造酒ならではの米の重さを伴ってしまいがちです。
それとは異なるフルーティーさ、蒸留酒ならではのボタニカル感溢れるジンのような香り高さと味わい…。
麦焼酎の『兼八』や『特蒸泰明』を初めて飲んだ時は、その麦々しさに驚いたものですが、芋焼酎でこんな味や香りが出せるなんて、新たな驚きです。
飲み方としては、ロック・水割り・お湯割り、どれも良いのですが、私が好むのは炭酸割り。
華やかな香りがより一層引き立ちます。

これは飲み続けたい!
期間限定品ということで、翌日から早速あちこちの店舗に目を光らせる日々が始まりましたが、限定品とは思えないほどの流通量に逆の意味で驚きを隠せませんでした。
あちらのスーパーにも、こちらのコンビニにも、普通に置いてあるのです。
本当に限定品なのだろうか?
いささかの戸惑いはありましたが、やはり数週間も経つと店頭から姿を消していくもので、様子を見つつ買い貯めをしております。
しばらくはこの茜霧島を愛飲していく所存です。

イタリア!イタリア!

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

新緑が鮮やかな季節になりまして、汗ばむような陽気も珍しくなくなって参りました。
軽やかな足取りで、お出かけなどもよろしゅうございますね。

さて、今月の当家では、イタリアをテーマにした催しがございます。
残念ながら、いまだ足を踏み入れておりませんが、司馬にとりまして、彼の国は長年のあこがれの地でございます。

古代ローマ帝国から綿々と歴史を紡いできた、重厚かつ壮大なる文化遺産。
それを背景にしながらも、ファッションや建築、あるいは料理といったライフスタイルには、どこかユーモラスで自由を楽しむゆとりを感じさせるものがございます。

たとえば、パスタのネーミング一つにも、そんな遊び心は満ちております。
ペンネ、ファルファッレ、フジッリ、コンキリエ。
ご存じでございますか?
これらには、ペン先、蝶ネクタイ、糸巻き、貝殻という意味がございます。
それぞれが独特の形状をもったショートパスタでございまして、いかにもイタリア人らしい、食いしん坊で、お洒落な趣が伝わってまいります。
もちろん、それらに絡めるソースも無数のバリエーションがございますね。

お屋敷での日々にも、このような遊び心を忘れずにいられれば、お嬢様方のお心をさらに晴れやかにできるのではないかと、豊かなイタリア気質に敬意と憧れを抱いてしまうのです。

心地よい五月の日々でございます。
ティーサロンにおいても、シェフの心づくしのパスタをご用意いたしておりますので、ワイン片手にお食事をお楽しみくださいませ。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。

皐月

初夏の風が清々しい今日この頃、お嬢様如何お過ごしでしょうか。
乾でございます。

新緑茶の収穫の頃を表す八十八夜が5月の始め頃でございます。

紅茶の場合、中でも私の好きなダージリンのセカンドフラッシュのクオリティーシーズンが5月から6月なのはご存知の事と思います。

この時期のダージリンは極めて良質なお茶が多く採れる事から、私も今年の紅茶の入荷をワクワクしながら待っております。

さて、5月は端午の節句もございますね。

久しぶりに折り紙で「兜」を作ってみました。

大きな紙で作れば実際にかぶれるようです。

誰かにかぶせてみたいような気もしますが・・・
止めておきましょう。

では、美味しい紅茶をご用意してお嬢様のお帰りをお待ちしております。

beautea

今月20日に黒崎と共にエクストラティーを仰せつかる事となりました。
名前は「beauter」と申します。

美容効果、精神安定、不眠改善などの効能のある
百合花茶と様々なハーブをブレンドしたオリジナルティーをご用意いたしました。

黒崎と一緒に考案させていただきました。
彼はハーブにも強いのでイメージを擦り合わせ、彼からのアイデアも頂戴したりして、お陰で楽しくイメージを膨らませることが出来ました。

是非、美容と健康に良い「beautea」召し上がってみてくださいませ。
優雅なひと時をお約束いたします。

春、はるばると、春遠からず夏

桜が散ったのも、
もう去年のことのように感じられます。
そのくらいに、あっという間に、月日は過ぎて参りますね。

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木にございます。

今年は、令和なんてものも登場しますから、
更に短く感じられるかも知れません。
とはいえそれはそれで、
過ぎ去る物の美とでも申しましょうか。
時に振り返り、懐かしんで、
あの頃も良かったものだなぁなどと、
思えるのも良いことですよね。
そう思える為にも、
今も、しっかりと、頑張らないといけませんね。

しっかり……
しか……
鹿……

鹿野「呼びました?」

呼んでないよ。
どんぐり拾っといで。
好物だろう。

佐々木「呼んだ?」

貴方は何故来た。

暖かくなってきましたので、
色々出て参りますね。

そうそう、気候的には
ようやくの春といったところで。
皆様のお召し物一つ拝見致しましても、
春だなぁと感じております。
上着を一つ無くせるだけで、
心持ちも軽やかになる気が致します。

などと考えていますと、
楽観的な性分の私は、
今年も楽しいことが沢山ありそうだ。
と思えてしまうのです。

春ですねぇ。
今夜の晩酌は、
山菜の天ぷらと日本酒に致しましょうか。

お供には、春の嵐(ゲルトルート)か悲しみよこんにちは辺りを持ってきて、
たまには文学にかぶれてみるのもいいですね。

いつの間にやら、
私の話ばかりになってしまいました。
皆様の楽しみのお話も、
是非お聞かせくださいませ。

ご健康と皆様の幸せをお祈りして。
お元気なお顔を拝見するのを、
何より楽しみにしております。

……結局、私の楽しみなことでした。
お帰りお待ちしております。

(五月は暦の上では、初夏ですけども、
暑さにはもう少し、のんびりしていて欲しいものです。寒いよりはいい気もしますが)

才木

Summons Card

ゴールデンウィークもお仕舞い。楽しい思い出は沢山出来ましたか?

緑道の木漏れ日の下で、ゆっくりグラスを傾けたい能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

新年度も一ヶ月が過ぎ、そして気が付けば、新時代を迎えました。

大変お恥ずかしながら、新しい年号という実感もなかなかに少なく、

令和生まれのお嬢様やお坊ちゃまとお会いする機会がありましたら、

もやっとした気持ちにも、少しは変化が生じるのかも知れませんね。

ワインカーヴへと足を踏み入れる機会が以前に比べて多くなりました。

毎日毎晩のように夜遅くまで聴こえておりました、ペンを走らせる音。

暫くはインクの香りと共にずっと耳に残っていることでございましょう。

私にとっての学びの場所。これからは学びを伝えていく場所になります。

今夜は非常に珍しく、長野「塩尻」の赤ワインを手に取ってみました。

「令和」を感じたいという気持ちが、恐らく心中であったのでしょう。

日本ワインらしい、優しく包み込んでくれるようなひとときでありました。

こういった考えるための時間を過ごすのもたまには悪くのうございますね。

窓を開け放ちますと、涼しい夜風が入って参りまして心地良うございます。

季節の移り変わりに情緒を感じるのは、思い出がそうさせるのでしょうか。

幾度も幾度も。私は沢山の季節をこのお屋敷で迎えたいものでございます。

麗らかな春も。大好きな夏も。情緒的な秋も。そして寒くて大嫌いな冬も。

不意に突風が吹き、デスクに置いておりました書類たちも宙を舞いました。

木目の床へと散乱致しましたその中に。馴染みのある一通の封書が。

――なるほど。左様でございますか、大旦那様――

お嬢様。空が瑠璃色になる前には戻ります。お早めにお休み下さいませ。

能見