フットマンアイス

影山でございます。

とある日のこと。

唐突に言われました。

『フットマンアイス作ってみませんか?』

わたくしは今までフットマンアイスにはあまり触れずに、いえ触れようとせずに

日々お給仕させて頂いてました。

毎月使用人達がお嬢様にお出しするフットマンアイス。

9月のフットマンアイスは完成前に味見させて頂く機会がございました。

試作段階でも美味しゅうございましたが、
より美味しいものを作ろうとお給仕の合間をぬって色々試行錯誤しておりました。

その姿を見ていた矢先の出来事でございます。

あぁ

バトンの先に

お屋敷の玄関先でも鈴虫の声が聞こえるようになってまいりましたが、お嬢様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
今年の夏は地球の裏側からの知らせに日々一喜一憂致しました香川でございます。

勝利に沸く日も意に沿わぬ結果の日も、どちらにせよ最終的には目に熱いものをこらえられぬ瞬間が待っている。
それがこころを引きつけてやまない魅力なのかもしれません。

どのドラマにも筋書きはないはずでございますが、その中でも特に緻密に計算された上でのメダル獲得を感じた競技がございました。

それは男子400メートルリレーでございます。

4人の走者がそれぞれ100メートルをバトンでつないでいく。
この種目は100メートル走が速いことが勿論勝利に近いはずで、短距離のトラック競技では日本から出場する選手がメダルを獲得する日が来るとは、正直想像すらしていなかったのが本音でございました。

今回もリレーメンバーの誰一人として100メートル走では決勝に進んでいないにも関わらず、その4人での銀メダル獲得。

しかしこれは偶然の産物ではなく、取るべくして取ったメダルだったように存じます。

個々の潜在能力が高かったということも勿論あろうかと存じますが、適材適所の配置に加え、チームとして戦うという意識とリレーならではの巧みなバトンワークがあったからこそでございましょう。バトンの受け渡しにかなり多くの時間を割いて練習を重ねたとのことでございます。

各国の個性も出てくるのかもしれませんが、リレーの練習を厭う方もトップクラスの選手といえどもいらっしゃるようでございます。
チームで何かを取り組むということの、まさにモデルケースを見たような気がして、非常にこころを動かされました。

皆のチームワークが求められることは、お屋敷でも言えることかもしれません。
使用人チーム全員でのこころを込めたバトンワークの先に、お嬢様方のキラキラの笑顔というゴールを求めて、これからも走り続けて参りましょう。

お早いお帰りを、お待ちしております。

クラシックの調べ

残暑厳しい今日この頃、いかがお過ごしでございますか。
環でございます。

今までは音楽はどちらかと言えば巷で流れるようなものを聞いておりましたが、
最近はクラシックに興味を持ち始めました。

サロンで流れる音楽はやはりクラシックが主流でございますので、
私も遅ばせながらそちらのジャンルにもう少し耳を傾けてみようと思い、現在いろいろと聞いております。

やはりその中でもピアノの曲。

特にショパンの音楽は耳に残ります。

昔ホロヴィッツが弾いていた英雄ポロネーズが好きでずっと聞いていた時期がございましたが、彼が奏でる素敵なフレーズを頭の中で再現しながら口ずさんでいたのは良い思い出でございます。

この間は子犬のワルツを聞いてバンデュースの瑞沢を思い出しておりました。

時に私を思わせる曲はどんな曲なのでございましょうね。

まだまだクラシックを聞く楽しみは続きそうです。

それでは。

デザートと紅茶の追いかけっこ

少しずつ寒くなってまいりましたね、これからはホットティーの出番が増えそうでございますね。

暑い時にはアイスティー…でございますか?
気分的には良いかもしれませんが実はアイスティーもホットティーも身体を温める作用がございます。

特にジンジャーティー等はよりお体を温めますので冷え性の場合などに最適でございますね。

逆にホットコーヒーは結果的に体を冷やすと言われております。
しかしながらカフェインは紅茶よりも飲用時には多く摂取できますので、目を覚ましたい時などにオススメでございます。
くれぐれもカフェインは摂りすぎ注意でございますが…

最近お嬢様から多い紅茶の質問がございましたのでこちらでもご案内させていただきます。

『どんな紅茶がどんなデザートに合うか』

こちらを掘り下げてみようかと存じます。

それぞれのフットマンによって考え方が違いますので一概にはお答えでないのですが(逆に使用人の趣向を知る上では聞いてみるのも楽しみの一つかもしれませんね)
今回は敢えて合わないものと共に案内してみようかと思います。

私個人的な意見になりますが…

①スコーンや焼き菓子、クリーミーな味わいのデザートには

・セイロンティー(※当家で扱っているものより ヌワラエリア、ウヴァ、ディンブラ、ルフナ)
が合うかと存じます。

セイロンティーは紅茶らしい茶葉の味がしっかり舌に残る特徴がございます。
その茶葉の味わいとクリームの味わいのマリアージュが良いためでございます。

逆にそちらのデザートとあまり合わないと判断するもの

・ハーブティーでございます。
ハーブの種類にもよりますがハーブとクリームが一番香りとして遠い存在のため少し違和感を覚える場合がございます。
しかしながらデザート後にハーブティーでスッキリと気分を整えるにはとても最適かと存じます。

②チョコレート系のデザートには

・アッサムやルフナなど
濃厚な味わいのものがマリアージュとしては最適かと存じます。
お好みでミルクを入れても良いかもしれませんね。

逆にチョコ系に合わないと判断されるものは

・フルーツメランジェ(ベリー、アップル、オレンジなどフルーツを中心としたお飲み物)

ミルクを入れられない特性がある上、チョコレートの味がフルーツの味わいを殺してしまう可能性がございます。

③フルーツ系のデザートには

・ハーブティーやフルーツメランジェ
でございます。

フルーツの繊細な味わいをとのマリアージュが良うございます。
果糖の甘みが舌に残るうちにレモングラスのハーブティーやアップルのフルーツメランジェなどで仕上げるのも良うございますね。

合わないものと判断されるものは
・アッサムやルフナなど
濃厚な味わいの紅茶でございます。強い紅茶の味わいがフルーツの繊細な味わいをぼかしてしまう可能性がございます。

いかがでございましょうか?
一概にデザートに合う紅茶というだけではなく、デザートの種類によっても合うものが異なります。

「これには合うのに、これには合わず、逆にこっちには合ったり…」

あくまで一例でございまして、こちらに該当しない場合もたくさんございます上、お好みによっては合わないと記載されたものが良いと判断される場合もあるかと存じます。

今回の日誌、普段あまりセレクトされない紅茶をご用命するきっかけになれたらと存じております。
それではまた、ティーサロンでお待ちしております。

古谷でございます

燃えすぎた真夏の太陽は沈みこみ、焦げたような余韻を残すこの季節の空に映るのは十六夜の月。

影伸ばしその面影を照らます。

「天国にいる亡き恋人に捧げられたグラス」

そんな悲劇的な逸話を持ったカクテルをご存知でございますか?

カクテルの名は

「マルガリータ」

作者は米国ロサンゼルスのとあるバーテンダー。

彼は若き日に初恋の女性を狩猟中の流れ弾で亡くしており、メキシコ生まれの彼女をしのび、恋人の故郷のお酒にございますこのテキーラをベースにカクテルを考案しその名前をマルガリータと名付けました。

このカクテルは1949年の全米カクテルコンテストで入選されており、感動を呼ぶエピソードとともに現在においても大変人気のある有名なカクテルとして、お外のBARにおいても定番としてご用意されております。

今宵を照らす既望の月の下。

美しい悲恋のエピソードに想いを馳せ、秋の夜長にグラスを傾け過ごしてみるのもいかがでしょうか?

古谷

お月見の季節

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

猛暑も一段落し、風の気配に夏の終わりを感じるこの頃には、夕暮れ時などに一抹の寂しさを覚えることもございます。

ようやく暑さから解放されますと、そろそろ一夏の疲れが出やすくなりますので、皆様、どうぞご用心くださいませ。

さて、秋になりますと、空気が澄んでまいりまして、ひときわ夜空が美しく見えてまいります。
お嬢さま方、今年の夏は楽しくお過ごしになられましたでしょうか?

私はと申しますと、体調を崩すこともなく元気に夏を乗り切ることができました。
これも、日ごろからお嬢さま方の笑顔に接していられるおかげかと存じます。
いつも元気を頂戴いたしまして、あらためて感謝でございます。

ただ残念なのは、結局、花火を楽しむ機会に恵まれなかったことぐらいでしょうか。
その代わり、せめて良く晴れた秋の夜長、一日の仕事を終えてからは、うつくしい月の輝きでも愛でることにいたしましょう。
今年の中秋の名月は九月十五日でございますが、あまりこだわる必要もございませんでしょう。

西洋では、満月は不吉な兆しとされているようですが、わが国では古来より様々な粋人たちが、月の満ち欠けに風流を感じて、酒杯を傾けております。
それを大義名分にするわけではございませんが、ビールの季節はすぎましたので、そろそろスパークリング・ワインでも一杯片手に・・・・。

おっと、その前にお嬢さま方のお月見の用意もしませんと。
今年は、どちらの河原ですすきを採ってまいりましょうか。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。

夏のカメリアシネンシス

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

今年の夏も大変暑うございましたが、素敵な思い出はできましたか?
季節の変わり目に油断なさって体調を崩してはいらっしゃいませんか?

私は今回お暇を賜った日を利用しまして、フットマン速水と共に国内の茶園にて茶摘み、製茶を体験して参りました。

そちらで試飲させて頂いた国産紅茶の美味しいこと美味しいこと…

…え?自分たちだけで美味しい紅茶を試飲しに行ったのか、ですか?

いえ、それは…その…

し、使用人たるもの、お嬢様のお口に入るものがどのように作られているか実際に見ておかなくてはなりませんので!

そ、そうだ、写真を撮って参りましたのでどうぞご覧下さいませ!

広がるカメリアシネンシスの茶園

一芯三葉摘み

下の方は色が濃い目でございます。

え?やっぱり写真だけでは物足りない?

…畏まりました。
次はご一緒にお連れ致しますから、そんなお顔なさらないでくださいませ!

あ!速水が製茶の様子を撮影しておりましたのでそちらもご覧になっては如何でしょう。

私は茶器の手入れを仰せつかっておりますので、この辺りで失礼致します。
(速水さん、あとはお願いします!)

隈川