リキュールの女王

我が敬愛せしお嬢様へ。

窓を開ければ梅花が香り、桜の蕾ももう真近。そんな季節が訪れております。

私事ですが、時任には、毎年恒例の旧来の友と交わしている約束事がございまして。
毎年桜が咲く頃に再会し、桜舞う樹の下でチェスの勝負を行う。そんな約束でございます。

昨年ごろより、桜の花粉症が発覚した私にとっては危険すぎる対決となってしまいましたが。
今より、盤面に列ぶ瑪瑙の駒を想い、想定する鉄壁の布陣を、如何なる奇策にて打ち破るか…そんな構想ばかりが心に浮かんでおります。

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