「番外編・同族狩りの弐/話は進むどころか遡る。/応接間において一執事が行った暇つぶしの代償/銀と紫の一族/月下の似姿/そして終点は前章とと同じ」

我が敬愛せしお嬢様。
思うままに筆を振るうのは楽しいものでございます。
ただ、往々にしてございますのは。
筆を振るっているつもりがいつしか、筆が物語に支配され。
まるで思いもしない物語の中へと筆を持つ私自身が連れ去られてしまうこと。

私はいつ、この物語の中から帰還出来ましょうか。
あるいはこのまま、どことも知れぬ地を彷徨うが定めなのでしょうか。

せめてこの拙き駄文が、最愛なる貴方の退屈という病を、ひとときでも癒す術となるなら。
このまま帰還叶わぬとも、本望でございます。
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