主役は花から色づく葉へと

金木犀が散ったのはいつのことでしょう。
桜のように盛大に散りゆく姿を見せる花もあれば、隠れて匂い、
人知れず散りゆく花もございます。
晴れの姿を見ることもままならず、最期すら見届けられない
なんて、こんな心残りがございましょうか。

いよいよ外套の必要な時期となってまいりました。
日の陰りも早うございます。
どうかお早くご帰宅くださいませ。

寝起きで、わたくしの言葉など水上の耳に届いてはいないと
思っていた伊織でございます。

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「番外編・同族狩りの弐/話は進むどころか遡る。/応接間において一執事が行った暇つぶしの代償/銀と紫の一族/月下の似姿/そして終点は前章とと同じ」

我が敬愛せしお嬢様。
思うままに筆を振るうのは楽しいものでございます。
ただ、往々にしてございますのは。
筆を振るっているつもりがいつしか、筆が物語に支配され。
まるで思いもしない物語の中へと筆を持つ私自身が連れ去られてしまうこと。

私はいつ、この物語の中から帰還出来ましょうか。
あるいはこのまま、どことも知れぬ地を彷徨うが定めなのでしょうか。

せめてこの拙き駄文が、最愛なる貴方の退屈という病を、ひとときでも癒す術となるなら。
このまま帰還叶わぬとも、本望でございます。
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星空が綺麗な秋の日

お嬢様、お坊ちゃま、ご機嫌いかがでしょうか? 金澤でございます。
今年の秋は短く、もう冬がそこまでやって来ております。
風邪などひかれませんよう体調には十分お気をつけ下さいませ。


さて今回は私のある一日のお話を致しましょう(毎回同じようですが・・)


秋風が心地よい某日、いつものようにお屋敷のティーサロンではお嬢様のお帰りをお迎えする為、使用人一同せっせと準備をしています。


この日私が仰せつかった仕事は、紅茶係!
お嬢様、お坊ちゃまのご帰宅に合わせ茶葉のチェック、お湯を沸かしたり、ポットを温めたり etc・・


時間になりました。
嘉島執事 「さあ、みなさん!お時間ですのでお嬢様をお迎えいたしましょう!」


スワロウテイルの一日が始まりました!

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