橋のない河

空には鈍色が差し、しばらくぶりの雨模様でございますね。
ようやく寝覚めのよい季節がやってまいりました。

陳列窓に並ぶのは、外套を着た人台の列――早晩必要にはなり
ましょうが、まだまだ暑さの戻りに油断はできません。
しかし自然の理とは不思議なもので、野の花木はそれでもきちんと
暦を数え、時期を違わず主役の舞台へと上がってまいります。

お嬢様、いかがお過ごしでございますか。
伊織でございます。

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