我が敬愛せしお嬢様、ご機嫌うるわしゅうございますか?時任でございます。
春も梅雨も何処へやら、世は早くも真夏の装いでございます。
お昼のお使いも命懸けになってまいりました。日陰から日陰へと、陽光に焼かれ
た身体から白煙を上げつつ駆け抜ける日々でございます。
…大旦那様、なぜわざわざ私をお昼のお使いに出すのですか…。
とかく、この季節は体力勝負でございます。
暑さに食欲のわかぬ日もありましょうが、お嬢様がたは太陽ごときに屈服せず、
誇り高くしっかりご飯をお召し上がりくださいませ。
夏の陽射しの下、向日葵のような笑顔を湛えて御戻りになるお嬢様の姿を、お待
ち申し上げております。
その笑顔だけが、私が唯一愛することのできる太陽でございますゆえに。
それでは、この先は例によりて戯言を綴らせていただきます。
どうかお嬢様、この先はお休み前のベットか、退屈な馬車の旅の途中にでもご覧
くださいませ。