拝啓 お嬢様へ

夏も近づき、窓から吹き込む風も心地よい季節となってまいりました。
お屋敷の休館をお許し頂き、お側を離れまして、はや半月が過ぎようとしております。

目覚める朝にも眠る夜にも、お嬢様がきちんとお食事を召しておられるか、お風邪を召していないかと、
御身を案じぬ日はございません。

間もなく雨の季節も明け、再びお目通り叶う日も近うございます。
より一層の気品を身に付けられたお嬢様との再開を心待ちとし、
そんなお嬢様方に仕えるに相応しき執事として、その日を迎えられるよう、私どもも努力を惜しみませぬ。

どうか今ひとときの間、お側を離れること、お許しくださいませ。
そして口煩いようでございますが、くれぐれも身体にはお気をつけてお過ごしくださいませ。
お元気な笑顔に再会できるその日こそが、私どもの心の支えなのですから。

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