紅茶の日

11月1日は日本紅茶協会が認定する紅茶の日でございます。

紅茶、お好きですか?

伊織でございます。

 

お屋敷でもここ数年、この日に合わせてイベントを行わせてもいただいております。以前には11月1日にちなみ、毎月1日もしくはその月の開館初めの日に特別にわたくしがお選びした紅茶をご提供しておりました。

現在ご提供しているプレミアムティーの前身でございます。

ちなみにこの紅茶の日、先述の通り日本紅茶協会が認定するものですから、決して世界共通のものではありません。

 

 

例えば紅茶文化の国イギリスでは4月21日にナショナルティーデイが定められており、紅茶の日と呼んで相違はないかと思います。

さらにはさすがにイギリス、上記のナショナルティーデイのみならず『ナショナルクリームティーデイ』という日も存在しており、毎年6月第4金曜日に祝われていると聞きました。スコーンにクロテッドクリームとジャムを合わせて過ごす紅茶の時間が、イギリスにおいてどれだけ大切なものかが分かりますね。

 

 

対してこれまた特徴的なのがアメリカの6月10日ナショナルアイスティーデイです。アイスティーが生まれた地であり、今でも紅茶の多くがアイスティーとして消費されるアメリカらしい記念日でございます。

 

 

さらに紅茶の日といえば5月21日にインターナショナルティーデイという日がございます。こちらは国連が制定した日であり、おもな茶生産国を中心に注目されているとのことです。

ひとくちに紅茶の日と申しましても、土地によってさまざまですね。

とくに4,5,6月とファーストフラッシュや日本でも茶摘みの時期に連続している点が個人的に興味深く感じました。

お嬢様が紅茶に興味を持ち、興味をより深めていただけることを願いながら、明日もまた紅茶をお淹れいたします。

Ψυχή

暑い季節が長くなり、秋がもはや概念上の存在になりつつある昨今、お嬢様はいかがお過ごしでしょうか?

伊織でございます。

 

 

ティーサロンでもご用意のあるウェッジウッドのティーカップ・プシュケは、その名前の由来をギリシャ神話に求めることができます。

プシュケとエロスの物語を題材としたこのティーカップは、ふたりの結びつきを表すラブノットというリボン模様があしらわれていることはご存知のお嬢様もいらっしゃることかと思います。

プシュケは魂や精神を表す言葉であり、プシュケとエロスの物語は精神と肉体の関係を神話にしたものなのだそうです。

 

 

と、ここまではわたくしも今まで承知していた内容でしたが、先日プシュケという言葉にもうひとつ意味があることを知りました。

その意味とは「蝶」です。

蝶が幼虫から蛹、そして成虫へと成長していく様子に、何か不思議で神秘的な要素=魂を見出したのでしょうか。

ひらひらとどこかへ飛んでいく、というのもなんとなく魂を思わせるのかなとも思ったりいたします。

 

 

神を愛した人間プシュケ、彼女は魂や精神であり、そして蝶でもあったのですね。

そういばティーサロンに飾ってあるプシュケの絵にもたしか蝶の羽が……。

バナナ

バナナはお好きですか?

わたくしは好きです。

伊織でございます。

 

 

ベリーと聞くと、お嬢様は何を思い浮かべますか?

ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、ジュニパーベリー、ティーサロンで登場するだけでも様々ございます。

しかし、こうした中でストロベリー=いちごがベリーには含まれないという話は有名でございますが、実はベリーのようでベリーでないという植物は思いの外多かったりするのです。

 

 

例えば上にあげたベリーのうち、植物学的にベリーに分類されるのはブルーベリーだけです。名前に惑わされてしまいますが、ラズベリーもジュニパーベリーも本当はベリーではないのだそうです。

 

 

そんな紛らわしいベリー類ですが、普段接しているとまったくもってベリー感のないベリーというのが、なんとバナナなのです。

これは驚きました。

形状も大きさもベリーという言葉のもつイメージとはかけ離れているとは思いませんか?

ですがきちんと植物学的に分類するとベリーに含まれるのだそうです。

 

不思議ではありませんか?

こんなにも日常的にいただいている印象と実際の分類に差があるとは。

これからはベリースムージーを注文してバナナジュースが提供されたとしても、文句を言う筋合いはございません。素直に頂戴することといたします。

そうめん

 

つい昨年までは、オリーブオイルと塩でそうめんを食べることが気に入りだったわたくしですが、食べ続けるとクドい、というさも当然な悩みによって私的な流行りは下火となってしまいました。

 

いかがお過ごしでしょうか。

伊織でございます。

 

幼少のころ、夏といえばそうめん、という具合によく母が用意してくれたものです。

めんつゆで食べるのがスタンダードでしたが、カレーライスを夕食とした翌日、冷えたカレーをめんつゆに溶かし込んで食べるというのもまた、我が家の風物詩でございました。

 

しかし、ある時期から「もう一生分のそうめんは食べた」という気がしてならず、そうめんを避けるようになってしまったのです。

嫌いなわけではありませんが、自ら食べたいとは思わない、という具合です。

 

ちなみに同じように「一生分食べた」と自負しているのはバナナチップスです。今は目にするのもはばかられます。

 

それはさておき、そんなそうめんを避ける気持ちが一転、またそうめん好きに引き戻してくれたのは海外での出来事でした。

留学中に母より送られてきた段ボールの中に、そうめんが入っていたのです。

「もう一生分のそうめんは食べた」と感じていたわたくしですから、なかなか手が伸びませんが賞味期限は長いので心配はありません。

 

なんて悠長なことを考えている内に賞味期限は目前に迫ってきます。

贅沢のできない学生の身ですから、食べられる物を粗末にするわけにもまいりません。

わたくしは渋々そうめんを茹でることにいたしました。

 

賞味期限間近のそうめんは、おいしかったです。

なにせアメリカ留学中です。そうとう意識が高くない限りはご想像通りのアメリカンな食生活の毎日です。

語弊を恐れず申しますなら、糖×脂肪のカロリー乗という摩訶不思議な計算式がまかりとおる毎日、そんな中でであったそうめんとめんつゆの、まぁなんとさっぱりしていたことでしょうか。

わざわざ流しそうめんなんてする必要もございません。

脳内では、訪れたこともない峡谷の清流の画が描き出され、見たこともないカワセミの狩猟の様子が映し出されます。

Mac & Cheeseでは決して体験することのない食事体験でございます。

 

これ以来わたくしは、すっかりそうめん好きに返り咲いたというわけでございます。

お嬢様はそうめんは召し上がりますか?

なにかアレンジを加えて召し上がっていますでしょうか?

オリーブオイルをつけるときは、ぜひ少なめにしておいてくださいませ。

 

シドニーへ

梅雨なのか夏なのか、どうにもハッキリスッキリしない毎日でございましたね。

いかがお過ごしでしょうか。

伊織でございます。

 

今月20日、21日と2日間にわたりシドニーで開催されます「SMASH!」というイベントにお邪魔してまいります。

昨年に引き続きお声がけいただけましたのは、本当にありがたいことでございます。

たくさんの方が来日される昨今、すでにお屋敷のことを知っていてくださるということにも感謝ですが、ますます多くの方に知っていただけますよう努めてまいります。

 

百合野、隈川とともに、しばらくティーサロンを空けることとなってしまい申し訳ございません。お嬢様のお顔が拝見できないことはわたくしどもも寂しゅうございますが、務めを全うし、無事に帰国してご報告ができることを楽しみにしております。

June

6月はローマ神話のJuno(ユノ)にちなんでJuneと英語で呼びますね。

ティーサロンではロイヤルアルバートのティーカップ、フラワーオブザマンスのジューンでもおなじみでございます。

かの有名雑誌「Junon」の名も同じくJunoのフランス語が由来ではないでしょうか。

語源をたどるのは意外な発見にいたって面白いものです。

 

いかがお過ごしでしょうか。

伊織でございます。

 

先述のティーカップ・ジューンに描かれているのは、ちょうど6月が見頃を迎えるバラでございます。ピンクのバラが柔らかな印象で表現されております。

お屋敷の象徴でもあるバラは、ティーサロンの紋にも描かれているほか、様々なところで利用されているのはご存じの通りです。

ダイアナローズをはじめとしたブレンドティーはその代表ではないでしょうか。

ブレンドティーに使われるバラは、いわゆるバラの花びら「ローズペタル」だけではありません。バラの実である「ローズヒップ」もシェリーやオードリーといったハーブティーを中心に使われております。

 

さて、ただいま登場いたしましたオードリーというハーブティーには、もうひとつバラを冠した名前のハーブ「ローズマリー」もブレンドされています。

 

ローズヒップがバラの実であるなら、ローズマリーは何でしょうか?

ご覧の通り緑の葉っぱですから、バラの葉でしょうか?

 

ローズマリーの株や枝をご覧の経験をお持ちならお察しのことと思います。

ローズマリーとバラのローズにはまったく関係がございません。

なんともややこしい名前をつけてくれたものです。

どうやらローズマリーの語源はラテン語から来ているらしく、rōs marīnus(ロス マリヌス)=“海のしずく”の意味なのだそうです。青い花を咲かせることからその名がついたと言われているようです。

 

そろそろローズマリーの花の時期は過ぎてしまうかと思いますが、その清涼感ある香気はむしろこれからの季節にぴったりかもしれません。

まずはお屋敷のオードリーから触れてみるのはいかがですか?

勘違い

子供のころ、手遊び歌の「アルプス一万尺」の歌詞にて「小槍の上で」を「子ヤギの上で」と覚え間違い、随分とご機嫌な歌詞だなぁと思っていたものです。

正直に申しますと子供のころにというのは正確ではなく、子供のころから(比較的最近まで)勘違いしていたというほうが正しゅうございます。

 

お恥ずかしい限りですが、同じようなご経験はございませんか?

伊織でございます。

 

 

幼いころ、同じように勘違いして覚えていたことがいくつもございました。

天気予報でいう「台風一過」は「台風一家」だと思い、夏に台風がたくさんくることを家族に例えたのだなと納得してたり、報道番組で聞く「同一人物の犯行」はすべて「ドイツ人の犯行」だと思い込み、一方的にドイツの方を怖がっていた覚えがございます。

 

小学校にもあがらぬわたくしは「一過」も「同一人物」も、こんな難しい言葉は知る由もなかったわけです。

 

冒頭のアルプス一万尺と同じように、歌詞を勘違いしていた童謡がございます。

それが「やまのおんがくか」でございます。

お嬢様はご存じでしょうか?

 

この歌の歌い出し、

 

「わたしゃ おんがくか やまの こりす」

 

を、初めて聞いた時から勘違いしており、

 

「わたしゃ おんがくかや まのこりす」

 

だと思っていたのです。歌うときに切る場所を誤って覚えてしまったのが原因でした。

漢字にしてみましょう。

 

「わたしゃ 音楽家や 魔の子リス」

 

そう、幼いわたくしはこの音楽家は関西弁でしゃべる魔の子リスだと信じ込んでいたのです。随分と怖い歌詞だなぁと思っていたものです。

 

思い込みは、一度すり込まれるとなかなか払拭できないものでございます。

先入観をもつことなく、新しいことに向かっていこうと思います。