今年もお世話になりました。

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

月日が過ぎるのもあっという間、早いものでとうとう年末でございますね。
まもなくお仕舞となりますが、今年はいかがでございましたか。

人生とは、幸福と不運で彩られた塗り絵のようなもの。
以前にこんなことを聞いたか読んだかしました。
残念ながら、誰の言葉かは失念しましたが。

あくまで個人的な経験から申し上げますが、面白いもので、一年を通じてみてみますと、吉と凶の出来事はちょうど半々くらいやってくるようでございます。
とりあえず、今年の不運は来年に持ち越さず、新しい年に必ずやってくる幸運に希望を抱くのが、年末の心構えとしては、正しいようでございますね。
皆様方の来年の吉凶は、わずかでも吉が上回りますよう、心よりお祈りいたします。

私と致しましては、笑顔を忘れずに、無事にお屋敷で働き続けることができまして、とても幸運でございました。
たくさんのお嬢さま、お坊ちゃま、そして、奥さまと旦那さま。
楽しい一年をありがとうございます。

 

では、師走は何かと気忙しゅうございますが、クリスマス、そして年越しなどのにぎやかなイベントは、どうか楽しい気分でお過ごしくださいませ。
ただ、あまりご馳走を食べすぎないよう、ご注意は決してお忘れなく。

アフター・ハロウィンのナイトメアー

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

ハロウィン&クリスマスの二大イベントにはさまれて、これといった特色のない谷間のような11月でございます。
しかし、この時期を完璧なまでに、魅力的に描いた映画がございますね。
ファンタジーの名作「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」。
もはや、内容のご紹介も必要もないほど、定番のクラシックのような風格すら漂う作品でございます。

名画といわれる作品の例にもれず、本作にも色々と楽しめる鑑賞の切り口がございます。
たとえば、日常に埋没してしまった、生きる意味の再発見。
あるいは、想い人を健気に支える切ない恋心。
主人を助ける飼い犬の愛らしい奮闘。
そして、無邪気で一途であるが故に恐ろしい熱意。

 

司馬と致しましては、クリスマスの準備に奔走するハロウィンタウンの住人たちが、お屋敷のイベントの準備に励む使用人たちのそれに重なります。
もちろん、大変な日々の連続ではございますが、それ以上にもたらされる充実ぶりが垣間見えまして、ついつい共感してしまいます。

年末から新年、そして3月にはアニバーサリー期間が控えておりまして、使用人たちも忙しい日々を送りますが、きっとその忙しさを楽しみに待ち受けていることでしょう。
もちろん、熱意が暴走しすぎないように、時々、クールダウンしながら。

では、お嬢様方。
ハロウィンタウンの気の良い怪物たちの姿に重ねて、お屋敷の使用人たちの姿を脳裏に浮かべつつ、シアタールームにて、秋の夜長の鑑賞などいかがでございますか?
早速、フィルムをご用意いたしましょう。

九里・四里・八里・十三里?

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

いよいよ秋も本番でございますね。
先月に続いて、また食欲の秋にちなんだお話でもしたいと存じます。

時は寛政、江戸に登場した焼き芋屋さんは、“栗より(九里四里)うまい十三里”という惹句を広めたそうです。
ちょうど、産地である川越が、江戸から十三里ほどにあったので、言葉遊びとしてさらに洒落が効いています。
狙いは当たり、江戸っ子たちには大いに人気を博した、とか。
そのことから、今月十三日は「さつまいもの日」に制定されております。

・・・しかしながら、こんなお話も。
江戸に先がけ、初めて焼き芋を商うお店が登場したのは、宝永の京の都。
その看板に記してある文字は“八里半”。
当時、さつまいもは蒸し芋で食されていたようなのですが、焼いたさつまいもが栗の味に似ていたことから「栗(九里)にはやや及びませんが」という洒落で「八里半」と名づけた、ということのようです。
こちらも、都の人に大人気だったようでございますが、やはり、さつまいもは栗よりも格下に見られていたように推察されます。

どうやら、栗とさつまいも、どちらかが美味しいかは、江戸時代から関心の的だったようでございます。
まるで、今日のご当地グルメの争いを見るようです。
昔から人々の食にかける熱い想いはあまり変わらないものなのですね。

というお話から、今月前半のフットマンアイスをご紹介させていただきます。
司馬がプロデュースいたしました「メープルマロン」アイスクリーム。
かつて、二回ほどご提供させていただいたメープルアイスに、旬のマロンの粒を忍ばせまして、いささかグレードアップを図りました。
メープルシロップの優しい甘さに、秋を感じさせる栗の味わいは、相性抜群。
以前の味を覚えていて、お気に召された方。
もちろん初めての方も、ぜひ一度お試しくださいませ。

 

さて、奇しくも同時期に提供されるフットマンケーキは、八幡がプロデュースいたしました「2色のさつまいものモンブラン」。
というわけで、江戸時代から続いております、由緒正しき「栗VSさつまいも」の味合戦の再現でございます。
双方をお試しになって、どちらかに軍配をあげるかは、お嬢様ご自身でございますよ。

秋の味

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

夕暮れも早まり、夏の衰えをつくづく実感することも多くなりました。
まだまだ、暑い日もございますが、秋はこれから深まっていくことでございましょう。
夜分は思いの外、肌寒くもなりますので、どうぞご自愛くださいませ。

 

というわけで、食欲も旺盛になる秋の訪れでございますね。
食欲の秋と聞いて、司馬が真っ先に思い出すのは、サンマの味わいでございます。
秋刀魚と書いて、サンマと読ませるように、まさに秋を代表する味の一つ。

お嬢様方には縁遠い、庶民の好む魚でございますが、焼き立てに大根おろしを添えたものは、たまらなく食欲をそそります。
酢橘や柚子などの柑橘類を絞るのも、風味が増してよろしゅうございますね。
ここ数年、不漁が続いておりまして、よく脂の乗った質の高いものは、もはや気軽に楽しめなくなりつつあるのは、誠に残念なことでございます。

大衆魚ということで、敬遠されている方もいらっしゃるかもしれませんが、有名な落語の演目「目黒のサンマ」にちなみまして、たまには、お召し上がりになられるのも一興ではないでしょうか。

サンマに限らず、秋に旬を迎える食材は、かぼちゃ、さつまいも、松茸、戻りガツオ…。
一つ一つ数え上げれば、本当にきりがございません。

 

秋風が涼しくなりますと、お庭でのお食事なども楽しめるようになってまいります。
ここは、古式ゆかしく、七輪や土鍋などをご用意いたしますので、和風のガーデン・パーティーはいかがでしょう?
早速、使用人たちを総動員して、準備にとりかかりましょうか。

暦とは?

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

八月でございますね。
七日には立秋を迎え、暦の上では秋の到来ということでございますが、そんな実感はいささかもございません。

手元にあるカレンダーを参照してみたところ、八月四日が旧暦の七夕にあたるということで、だいたい一月ほどのズレがある計算でございます。
実際、仙台では季節感に合わせて、七夕のお祭りはその時期に催されるということでございました。
そんな風に、伝統行事を季節感に合わせるというのは、とても肌に合う感覚がいたします。

それならば、土用の丑の日にウナギを食するという習慣も、旧暦の季節感に従って、月遅れで行ってもかまわないのでは?

―石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ―

大伴家持が、夏痩せした友人に送った和歌でございます。
古来より、猛暑には滋養のある食べ物をとることが、やはり推奨されていたようでございますね。
というわけで、私の一番の好物、うなぎの蒲焼を堂々と頂戴できる良い口実ができました。
どうやら、強烈な夏の陽射しも、なんとか乗り切れそうです。

さて、これは例年申し上げているような気がいたしますが、今年の夏は殊の外厳しいようでございます。
食欲も衰える時期ではございますが、皆様方におかれましても、どうか毎日のお食事は、しっかりとお召し上がりくださいませ。

 

とは申しましても、やはり二カ月連続でうなぎの蒲焼というのは、使用人にはあまりにも過ぎた贅沢。
・・・代わりに、浜松名物のうなぎパイに致しましょうか。

お暑うございますね。

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

―うりうりがうりうりにきて、うりうりのこし、うりうりかえる、うりうりのこえ。

いきなり読みにくい文章で、失礼いたしました。

―瓜売りが瓜売りに来て 瓜売り残し 売り売り帰る 瓜売りの声。

きちんと直せば、こうなります。
早口言葉というよりも、役者の方が、発声や滑舌の稽古で使われることが多い文章でございますね。

さて、今年は梅雨明けが殊の外早く、すでに夏本番に突入いたしました。
水筒や日傘、冷たいタオルや日焼け止めなど、お出かけの支度はくれぐれも万全にと、大旦那様よりも仰せつかっております。
また、とかく食欲不振になるものでございますが、健康を保つには、冷たいお飲み物ばかりではなく、しっかりとしたお食事も必須でございますね。

自然というものはよくしたもので、夏にとれる野菜、とくにキュウリやスイカや冬瓜などの、ウリ科の食物は体の熱を冷ます効果があるということです。
司馬のお勧めは、冬瓜のスープでございます。
熱々をお召し上がりになれば、最初は大量の汗をおかきになりますが、やがて、すーっとした涼味を感じてくることでございましょう。

夏の盛りに、熱々のスープというのは、お気に召しませんか?

それでは、井戸水で冷やしたトマトやキュウリを、そのまま丸かじりというのはいかがでございましょう?
「となりのトトロ」での印象的なシーンを思い出しますね。
これも、また夏の風物にふさわしく感じられます。
礼儀作法には少しばかり外れますが、夏の日差しの中では、それもまた一興というもの。

というわけで、この暑さもしばらくは続くことでございましょう。
無理なご辛抱は禁物でございます。
お体が慣れていないうちは、一休みをしながら、夏の楽しさだけをご堪能下さいませ。

入梅

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

六月になりますと、しとしと雨が降り続くようになり、少しばかり気が滅入る日々も続くようになります。

―梅雨。
私の苦手とする言葉でございます。

先日、わずかな晴れ間を縫って、庭園の枝ぶりの成長を眺めておりましたところ、鮮やかに咲く紫陽花の陰に、カタツムリが止まっているのを目にしました。

“揚雲雀(あげひばり)なのりいで、蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。”

上田敏の訳詩集『海潮音』(1905年)で愛誦される、英国詩人・ブラウニングの「春の朝」の一節でも、こんな時に口ずさめれば、わずかでも教養を披露しつつ、お嬢様方からお褒めの言葉もいただけるのでしょう。
しかし、こんな時に、つい司馬が連想してしまいましたのは、フランス・ブルゴーニュ地方の郷土料理“エスカルゴ”でございました。

 

その存在を知ったのは、まだ少年のころ。
いまでこそ珍しいものではございませんが、当時、おいそれとメニューに載っているような品ではございません。
いろいろと想像をたくましくし、たまらずに唾が湧いてくるような、はしたない有様でございました。

長じて、はじめて口にしたときは・・・。
刻んだガーリックやパセリを練りこんだバター(エスカルゴバター)と共に貝殻に詰めて、オーブンで焼かれたその歯ごたえと濃厚な風味は、さながら西洋風のサザエのつぼ焼きといった趣で、たちまち虜となりました。
以来、機会があれば、前菜に頼むようにしております。

貝のような肉質でありながら、磯の香りが皆無なため、赤ワインとも相性がよく、本場のブルゴーニュではピノ・ノワールとガメイの品種がブレンドされた「コトー・ブルギニョン」という、フレッシュなタイプの、カジュアルなワインが好まれているようでございます。
やはり、本来は高級料理ではなく、気軽に楽しむ郷土料理のようでございますね。

―健啖。
私の好きな言葉でございます。

まだまだ、ジメジメとしたお天気も続き、その先にはうだるような暑さも控えております。
ただ、食事を軽んじるのは論外。
さすがに、エスカルゴは珍味も行きすぎ、二の足を踏まれるお嬢様もいらっしゃるかと存じますが、ムール貝のアヒージョや、同じようにエスカルゴバターを使って調理したサザエのオーブン焼きなど、代わりのお品はいくらでも用意が叶います。

どうぞ、おいしいお食事とお酒、もちろんスイーツや紅茶も存分に楽しまれて、夏本番に向けて体力の増強をお心がけくださいませ。