春の訪れ

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

今年は、なかなか暖かくならずに、冬が長く感じられたようでございます。
ようやく四月となりまして、春が訪れてまいりました。
草花の芽吹きの季節でございます。
私も、心新たにお仕事に精励したいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いたします。

さて、新人フットマンの浅葱でございますが、ふとした会話の折に落語好きということがわかり、うれしくなってしまいました。

私も幼い頃より落語に親しんでおりまして、冗談のセンスや話術などの基礎は、すべて落語から教わったと申し上げても過言ではございません。

なかでも、春にお勧めの演目は、「長屋の花見」でございますね。
貧しいながらも、なんとか花見を楽しもうとする大家さんと、それにつきあわされる長屋の連中の姿が悲喜こもごもに描かれていて、とても楽しい一編でございます。

古典芸能も、たまには良いものでございます。
機会がございましたら、御鑑賞くださいませ。
本来ならば、寄席を一つ貸し切りにいたしたいのですが、それも野暮な行いでございますので、上席を確保しておきましょう。
お嬢さま方、お出かけには良い季節となりましたので、どうぞお忍びで足をお運びくださいませ。

では、本日はこの辺りで失礼いたします。

春といえば桜。桜といえば・・・。

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

三月ともなりますと、日差しはすっかり春の暖かさとなります。
この日誌をお読みになる頃、当家庭園の桜の花はもう開いておりますでしょうか?

桜といえば、つい先日、今年最初の桜餅をいただきました。
これほど春の到来を告げてくれるお菓子もございません。
おはぎのような道明寺、白玉粉を薄焼きにした長命寺。
二種類ございますが、お嬢さまはどちらがお好みでいらっしゃいますか?

ちなみに、私がいただいたのは長命寺でございましたが、もし双方をならべて好きな方を選ぶとなれば、道明寺を選んでしまいます。
味については甲乙つけがたいのですが、道明寺は関西系でございまして、関東育ちの私といたしましては、もの珍しさが勝ってしまいます。

お嬢さまがご所望の際には、常に両方ともご用意を致しておきましょう。
どうぞ、春の訪れを味覚からお喜びくださいませ。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。

道明寺

返礼

お屋敷のエディ・マーフィーならぬエディ・マーフィンこと司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

ちなみに、三時のおやつ(僭越ながら通称・司馬タイム)には、マフィンと抹茶がお勧めでございます。
二月に召し上がるマフィンは、ぜひともチョコレート味を。

さて、毎日の暮らしの潤滑油には、冗談が不可欠と常日頃思っております。
勝手ながら考えてみるに、冗談にはユーモアとウイットの二種類があるのではないでしょうか?
ユーモアは自分から発するもの、ウイットは投げかけられた言葉に対する返し。
少しニュアンスは異なりますが、庶民的な言葉で表すならボケとツッコミというところでしょうか。
どちらが得意かは、人それぞれ。
中には両方に長けている方もいらっしゃるようです。
うらやましい限りでございます。

私は、本来冗談など苦手な方でございます。
ですから、使用人たちが息抜きで口にする冗談に、せめてなにか面白い返しができないかとは、いつも思っております。

それは、我があるじであるお嬢様や、旦那様に対しても同じでございます。
せっかく使用人に投げかけられたお言葉に、ウイットある返礼で、なにかしらの退屈しのぎができていれば、これに過ぎる幸いはございません。

とはいえ、冗談はTPOがとても大切。
もしも、行きすぎておりましたら、ただちにご遠慮なく叱責くださいませ。

今回の日誌で意味不明なところがありましたら、先日の葵の日誌をぜひご一読くださいませ。
では、失礼いたします。

新しい年の始まり

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

遅ればせながら、明けましておめでとうございます、
新年のご多幸を、心よりお祈り申し上げます。

年末のカウントダウンにはご一緒できずに申し訳ございませんでした。
当家某所にある鐘つき堂にて、除夜の鐘をついておりましたもので・・・。
皆様方にその音色は届きましたでしょうか。
え?
そんなものは聞こえなかったと?
・・・なるほど。
当家の方々は煩悩とは無縁でいらっしゃいますので、そもそも除夜の鐘など不要でございました。

さて、昨年は長く共に仕事をいたしました旧友ともいえる者たちが多くお屋敷を後にしました。
寂しさを感じないといえば、うそになります。
それぞれ個性はありましたが、優秀な使用人たちであり、新参の者たちの手本となる者ばかりでございました。
果たして、私は彼らのようにお嬢さま方のお役に立てているのでしょうか?

異なる人間である以上、彼らの完全な代わりとなることはできません。
私は私なりに全力をつくすしか方法はございません。
ともかく笑顔を忘れずに執事として励む所存でございます。

どうぞ、お見捨てなきよう本年もよろしくお願いいたします。

当たり年

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

年の瀬も迫り、なにやら街角も慌ただしくなってまいりました。
お嬢さま方におかれましても、なにかと気忙しくお感じのことと存じますが、あまりご無理をなさらず、どうぞゆったりと新しい年をお迎えくださいませ。

さて、今年は邦画の当たり年でした。
「シン・ゴジラ」、「君の名は」など言うにおよばず、私といたしましては「アイアムアヒーロー」というホラー・アクションの秀作を劇場体験できましたことも、大いなる収穫でございました。

この日誌をしたためている段階では、まだ未見でございますが、「この世界の片隅に」も、近々鑑賞予定でございます。
こちらも、私が信頼する評論家の方々が、みな手放しで褒めていらっしゃいますので、とても期待しております。

洋画では「シビル・ウォー」や、大河内が大絶賛しておりました「ズートピア」などを面白く拝見しましたが、わが映画人生における歴史的ヒットと呼べる作品には、残念ながら出会えなかったようでございます。

・・・・いや、少々お待ちを。
まだ私の愛してやまない「スター・ウォーズ」の外伝である「ローグ・ワン」が残っておりました。
果たして、実り多かった今年の上映ラインナップにおいて、この作品は有終の美を飾ることができますでしょうか?

あまりハードルを上げすぎまして、肩すかしを食らわぬよう自制を心掛けつつ、しかしながら興奮を抑えられない自分がおります。
きっと、フットマンたちにも不審げな目で観られていることでしょうね。

フットマンといえば、杉村・生駒・緑川など最近デビューしました者たちは映画好きが多いようでございまして、彼らとの映画談義も日々の楽しみの一つとなりました。
名作と出会えることも、人々と出会えることも、一言でいえば運次第といえばそれまででございますが、そういう意味で、今年はじつに運に恵まれた良い年でございました。
お嬢さま方は、当たり年でございましたか?

ともかくも、皆様方の新年のご多幸を心よりお祈りしつつ・・・。
今回はこの辺りで失礼いたします。

まだまだ、秋?

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

暦の上ではとうに冬となりましたが、まだ実感もわかぬ昨今でございます。
庭園のもみじは、紅に染まって目にも鮮やか。
この燃えるような木立の色合いが失せないうちは、しばらく秋の名残を楽しめることでございましょう。

栗、きのこ、柿・・・・。
秋らしい食材の数々は、いまだ食卓を賑やかしております。
私といたしましては、さんま、それもシンプルに塩焼きなどをお勧めしたいところでございます。
大根おろしに、柚子やかぼすなどを添えれば、まさに食欲の秋の醍醐味と心のうちで快哉を叫ばずにはいられません。

とはいえ、いくら美味とはいえど、さんまはやはり庶民の味。
ただの塩焼きなど、お嬢さま方のお口に合うのかどうか、ためらいを感じてしまいます。
ここは、とびきり鮮度の良いものを漁港からいちはやく運び込みまして、厨房一同に工夫を凝らしてもらうことにいたしましょうか。

当家が誇る青木シェフのことでございます。
落語の「目黒のさんま」のように、奇妙な品を作り上げるようなことはございますまい。
きっと「さんまはスワロに限る」という絶賛の言葉が、お嬢さまの口から飛び出すにちがいありません。

さて、そんな秋の名残も、まもなく終わりを迎え、凍つく木枯らしも吹いてくることでしょう。
たとえ冬が近づいてきても、常にお嬢さま方が暖かな気持ちになれるよう、使用人たちも給仕に磨きをかけてまいります。
どうぞお体が冷えないうちに、スワロウテイルに足をお運びくださいませ。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。

怪談の季節

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

秋本番を迎え、朝夕、肌寒さすら覚えることも多くなってまいりました。
寒暖の差も激しゅうございますので、どうぞお召し替えの労は惜しまず、体調をお崩しになりませぬよう、ご自愛くださいませ。

十月といえば、ハロウィンのシーズンでございますね。
夕暮れの時間も早くなり、日差しの恩恵も徐々に減ってまいります。
先人は、それを闇の力が増すように感じ、怪物からの危害を恐れて、魔除けとしてハロウィンの祭祀を始めたのかもしれません。

また、その一方で、長い冬の到来を前にして、豊穣の秋を迎えるお祝いの時期でもあります。
ハロウィンには、それらに由来する陽気なバカ騒ぎ、そして、正反対の暗い影が同居しております。
そのためでしょうか。
他の季節に行われるイベントとは一味ちがった、なかば後ろめたいような面白みが生じているように感じてしまいます。

さて、ハロウィンといえばホラー映画が一挙に公開されるシーズンでもあります。
わが国において、怪談は夏のものではありますが、意外なことに西洋では、暖炉のそばで怪異なストーリーを家族などで語るのが、長い冬の間の退屈を晴らす風物となっているそうです。

お嬢さま方、文化の秋でもございます。
西洋の慣習にならい、秋の夜長を、書物や映画などの怖い話でお楽しみになるのはいかがでしょう?
きっと、ハロウィンの楽しさも倍増するにちがいありません。

さて、そこでおススメのホラー・ストーリーと申しますと・・・・。

おっと、そろそろお給仕の時間でございます。
どうぞサロンにて、司馬にこっそりお尋ねくださいませ。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。