お嬢様、お坊ちゃま、
ご機嫌麗しゅうございます。
小瀧でございます。
まだまだ暑い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
私はといいますと、町の商店で“あるもの”を購入いたしました。
その“あるもの”とは……
「電 気 ブ ラ ン」でございます
電気ブランはお酒の名称で、明治26年(1893年)頃に「神谷バー」の創設者である神谷傅兵衛さんの手によって誕生しました。
当時は電気が珍しかったため、目新しいものには「電気〇〇」と名をつけることが流行しており、このお酒はハイカラなものとして当時の人々の関心を集めたようでございます。
その電気ブランを自室の冷蔵庫で冷やしておき、執務を終えた私は自室に戻るやいなやグラスに注ぎました。アルコール度数は40%
私はこれまで20%を上回るお酒を飲んだことがございませんでしたから、薬草のように甘いアルコールの香りに私の心はときめく一方でございました。
まずは1口
ビリリ、と舌先に電流が
さらに1口2口と、舌と鼻の先にツンとくるアルコールの香り、じわりじわりと暖かくなる喉
これが文明開化の味でございましょうか?
当時の日本に思いを馳せながらいただく冷たいお酒は格別でございました。
そういえば、私共使用人が身につけているシャツもハイカラーでございましたね。100年前の日本で目新しかったものが、今となっては日常の1部になっているというのは面白くございますね。
いつかは私もお嬢さま、お坊ちゃまにハイカラな味わいをお届けしたく存じます。
そのためにはもっと様々なことを学ぶ必要がございますから、本日はこの電気ブランを味わいつくしたく存じます。
ええ、これは勉強でございます。
小瀧