Somewhere over the rainbow

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

世相が騒がしい昨今。
六月に入りまして
ようやく皆様のお顔を
拝見することが叶いまして、
大変嬉しい限りでございます。
今後少しずつでも皆様と笑顔で
お話させて頂ける機会が増えることを
使用人一同、切に願っております。

ただお会いできないのは
全く寂しいことではありますが、
やはり皆様のご健康やご多幸が
何より大事なことでございますから、
くれぐれもご無理なく油断せずに
ご予定を立てて頂ければ幸いにございます。

私共から申し上げられるのは、
使用人はいつでも変わらず皆様を
お待ち申し上げております。

ひとたび交わることがなくとも
それは決して失われないものであるという
自信がございます。
どうかご不安には思われませんよう、
お願い申し上げます。

……真面目な文言はさておき。

いよいよ夏! にございますね!
暗い話題が多い時期だからこそ、
楽しいことにも目を向けたいところでございます。

例えば海。
煌めく太陽の光。キラキラと光る砂浜。
雄大に広がるはるかな地平線と、
大きな入道雲と共に広がる、澄み渡る青空。

海の家の素朴な感じもたまにはよろしゅうございます。
BBQもよろしいですね。
暑い中食べるお肉もまた良いものでございます。
喉が潤えばこれに勝るものはありません。

山もいいですね!
春に芽吹いた新芽は青々と茂り、
私達に木陰を提供してくれます。
川のせせらぎと小鳥の囁き。
都会の喧騒を忘れ静けさに包まれますと、
何とも言えない万能感に包まれるものです。

ピクニックもよろしいですね。
ご希望があればハンモックでもご用意いたしましょう。
木漏れ日の下でのゆっくりとした時間。
読書をなさってもよろしゅうございます。
すっきりとしたものと甘く作ったものと。
アイスティーもしっかりとご用意いたします。

あ、お嬢様!
どこに行くにせよ、
日焼け止めと虫よけは必須にございます!
いつでも優雅に、美しく、ですよ。

私としては水族館も素敵だと存じます。
遠い水面に思いを馳せながら、
そこに生きる者達をゆっくりと眺めましょう。
ペンギン!
……失礼、発作です。

この時期の室内は少し寒いけらいがありますから、
羽織も一枚準備いたしますね。
皆様の輝きを損なわないよう、
光を反射し涼し気な
真っ白なサマーカーディガンなどいかがです?

勿論全てを同じままにということは
難しいと存じます。
それでも楽しむこと考えることは
私達の自由ですよね!

どうか下を向き過ぎず、
前を見据えてお歩きになってください。
それ以外はきっと我々使用人が
しっかりと目を光らせておりますので。

硬くならないようにとは思ったのですが、
上手く行きませんでした。
お許しくださいませ。

今の願いは、
扇風機の前であーと言いながら
スイカが食べたい。

暑さには十分お気をつけて。

才木

日々是好日

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

長らくお顔を拝見しておりませんが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。

私はと言えばこれを機に、
書庫の整理に精を出しております。
梅雨もあと少しという季節ですので、
本達を陰干ししては
戻しを繰り返しております。

とはいえ流石にこのお務めも
区切りが見えてきたところです。
本達も皆様に手に取って頂けないのは
なんとも寂しいことと存じますし、
私としてもティーサロンにて
皆様とお話させて頂く日が
待ち遠しいところです。

皆でお酒を頂く様な機会も
久しくございませんので、
世相が落ち着きを見せましたら
ゆっくりと頂きたいなと。

当たり前が
夢物語かのように感じられるのが
寂しいことでもあります。
ただ当然に受け止めてきたことを
少し新鮮な気持ちで行えるのは
ちょっと面白い気が致します。

初心に帰りなどと月並みではありますが、
改めて色々なことを
やっていけたらと存じます。
日々の有難さを忘れずに
お給仕にあたって行ければと。

皆様におかれましても、
まずは健康第一でございますし、
私共としても
元気なお姿を拝見出来るのは
何よりの幸せでございますから、
その時が出来るだけ早いことを
切に祈りながら過ごして参ります。

再会の乾杯の音頭は
佐々木に任せましょう。
上手くいきませんでしたら、私が。
多分すべるのでオチは
八幡につけてもらいます。
収拾がつかなくなりましたら星川に。
どうにかこうにか纏めてくれるでしょう。

ああでも御屋敷のパーティーですから、
音頭は皆様にお任せすることに
なるのかも知れません。油断せずに。
楽しみにしております。

才木

春うらら

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木にございます。

春になりますといつも頭に浮かぶのが、
春眠暁を覚えず、という言葉です。
お務めがありませんと、
どちらかと言えば
コアラ的な生活リズムの
私でございますので、春だから、
などと言うのは言い訳に近いのですが
気持ちのいい気候の中でまどろむのは
何にも代えられないものがございます。

これにのんびりした散歩の時間や
木漏れ日の下での読書でもあれば、
それだけで有意義な人生だと思えるなと感じるのですが、
時節がら高望みなのが歯がゆいところです。
せめて部屋のカーテンを開けて窓辺で
のんびりと過ごすぐらいはしたいものですね。

自粛の末の我慢というのも中々辛いですから、
気持ちだけでも前向きでいたいものです。

春の朗らかな気候の中で
まどろみを感じながら一読なさるのでしたら
「不思議の国のアリス」シリーズがお勧めです。

不思議の国と鏡の国の二作品がございまして、
少々難解に感じる部分もありますが
教訓や哲学のようなものではなく、
ただ童話の世界に浸ってお読みになるのがよろしいと存じます。

特に「鏡の国のアリス」は新鮮味もありながらも、
色々な創作作品のモチーフになる
センテンスが登場するので、
中々面白く感じられるかと存じます。

物語としてもチェス盤のモチーフですとか、
鏡の中なので全てが反転しているですとか、
基本的な世界観が分かり易いので
より世界観に浸って頂けるのではないかと。

生きておりますと様々な雑事が頭の中を巡りますが、
カラッポになる瞬間と言うのも、きっと大事です。
頭を悩ますことが多い昨今ですから
是非、無意味なことをしてみてください。
不思議の国のアリスの
有名なティーパーティーのシーンでは、
「アンハッピーバースデー(なんでもない日おめでとう)」
という言葉が印象的なのですが、
意味を求めることではなくて、ただただ素晴らしいですとか、
ただただ楽しいということは
より日常を華やかなものにしてくれるもの。
と私は思っております。

より豊かな生活を皆さまが送れますことを
微力ながらお祈りして。
落ち着きましたらティーサロンや書庫で
楽しいお話を是非お聞かせくださいませ。
私も楽しみにしております。
それまでは夢の貯金と参りましょう。

良い春を。

あ、それと。

四月八日で
お給仕を許されて三年となります。
改めてですが、
よろしくお願い致します。

才木

振り返り、3年

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

……いえ、3月でございましたね。
姫様、殿下。
ティーサロンの
アニバーサリーもございまして、
日々お仕えさせて頂く皆様に、
感謝の気持ちをお伝え出来る大事な月。
恐れ多くもそのタイミングに
アントワネット係も拝命致しまして
嬉しく存じます。

私自身のことを申しますと、
3月はフットマン見習いとして
御屋敷の門を叩いた月でもございます。
あれからもう3年も経つということに、
驚きを感じます。
色々な意味で
「3」という数字には何かと縁を感じるところです。
様々な変化がございました。
沢山の経験を致しました。
後ろを振り返ればきりがない。
そんなことを思います。

とはいえ諸先輩方の背はまだ遠く、
気づけば続く後輩達も多くおりまして。

今回アントワネット係を
山岡と共に拝命致しました。
後輩と何かペアになって
お務めを果たすのは初めてのことです。

先輩と、と言うと、
桐島とのエクストラや時任とのカクテルを思い出します。
私自身に、
2人のように貸せる胸があるかは
いささか不安の残るところではございますが、
そのような立場になること自体に
年月の重みを感じます。

結局、私は私の速度でしか
歩けない訳ではありますが、日進月歩、
少なくとも前に進まなければいけませんね。

長々と申しましたが、
要は感謝というお話にございました。
まずはアントワネット。
山岡と共にお待ちしております。

そして今後も皆様の限りのある一時が、
より安らかになものになるよう。
誠心誠意お仕えして参りますから。
何かあれば直ぐにお呼びください。
姫様、殿下。

397

才木

はやく来い

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木にございます。

暦の上では立春が過ぎたなどと申しまして。
確かに暖かさを感じる時もありまして、
そのようだと首肯しかけるのですが
頷く首の挙動よりも
早く寒さは戻ってきてしまうもので、
まだまだ春満開とはいかないものだと
身を縮めて日々を過ごしております。

寒さというのは如何ともしがたいもの。
とはいえ暑さも似たようなものです。
結局は中庸がいいのが世の理だから、
あまりふり幅をつけるのも如何ものか。
あてどない説教を独り言ちるばかりで、解決は致しません。
何も言わずとも待てば来るのも理解できますが、
ぱっとしないおみくじの文言の様で、
いいのか悪いのかよく分からなくなりますね。
善しも悪しもないのは勿論ですが、
とにもかくにも、冬よ去れ。
そればかりが頭をよぎるところです。

そんな私は炬燵の中におります。
暖かさに包まれていると、
ここが私の居場所なのだなと強く思います。
布団に対しても同じ感覚を抱くことが多いです。
炬燵は猫のものではなく、私のものです。
炬燵ペンギンです。
ペンギンは炬燵の中にいるのか?
でもそれは猫が箱に入るのかと同じ問題です。
開けてみるまで分からない訳ですから、
考えることは自由です。
空想と妄想に虚実が入り混じり、
思考実験と言葉遊びを繰り返し、
眠くなれば寝るくらいがいいなと思います。

冬眠には少し遅いですが、
冬の終わりの一か月くらいは眠っていれば、
起きた時にはいい気分かも知れませんね。
起きるころには良き頃勿れ。
無理をせず明日のことは明日に期待いたしましょう。
おやすみなさいませ。

才木

2020

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木にございます。

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

「2020」
という数字を見ていると、
境目がわからなくなるような気持ちが致します。
どちらの20も意味を持ってしまったような、感覚です。
本来なら「2020」そのものに意味があるのですけども、
後の20自体にも意味を感じてしまいます。
それは自身の人生を重ねてしまうのかも知れません。
年表上の1年と自分の1年には
主観的に大きな開きがございます。

毎年毎年何か大きなことがございます。
世間的には大したことはなくとも、
やはりそれは自身にとっては大事で、
変化というものに繋がってくることなのではと存じます。

昨年1年も私にとっては意味のある1年でありました。
何においてもそういった「意味」を
受け止めて何かを見出せるような1年に
今年もしたい所でございます。

皆様におかれましても、
この1年が意味のあるものであることを。
出来ればそれが、
幸福に満ち溢れたものであることを祈っております。

何かご不便がありましたら、
どうぞお気軽にお申し付けください。
皆様が豊かな時間をお過ごしになれる、
そのご助力が出来れば。
それが我々使用人の務めにございます。

……よく分からないことを申しましたが。

何よりも楽しく! 楽しく! 楽しく!
ありますように!
ハッピーハッピーニューイヤー!
今年もよろしくお願い致します!

……

12月にご用意しましたエクストラ。
残念ながらペンギンを
ご別宅にお届けすることは叶いませんが、
寒さが厳しくなる季節にございます。

せめてベースになりました、
ジンジャーロイヤルミルクティーだけでもと。
工程としては単純ですから、
よろしければお試しくださいませ。

【用意するもの】

抽出用ポット
茶こし

アッサムCTC 10g
生姜(細切り) 5g
牛乳 300ml
砂糖 適量

【Ho-Ho!! の作り方】
1.牛乳300mlを鍋へ。中火で温めます。
2.温まったら生姜5gを牛乳に、そのまま加熱。
3.同時にアッサムCTC10gを3分抽出、
(湯量は茶葉がお湯に浸る程度)
4.3分経ったら、茶葉ごと鍋の中に
5.そこから2分加熱
6.その後蓋をして1分蒸らす
7.茶こししてポットに移す
8.お砂糖はお好みで。

……

暖かく暖かくと申しますが、
寒い寒いと言いながら、
暖かいところで食べるアイスも
美味しゅうございます。
私のゆずまんじゅうアイスも
お楽しみくださいませ。

鏡開きも終わりましたから、
ぜんざいが食べたいところ。
どうにもまとまらないのも、
相も変わらずなところです。
お餅が焼けましたからこの辺りで。
では。

才木