ティーカップのススメ

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

アニバーサリー期間が始まりまして、
当家ティーサロンもまもなく19周年。
開館記念日を迎えますと、
いよいよ20周年の節目へと一歩踏み出してまいります。

そんなお祝いのお供として、
当家のティーカップコレクションに
新たなカップを選定いたしました。

日本・大倉陶園より、
「友禅桜」「マイリトルベア」の二客でございます。

友禅桜は、
着物の「友禅」をモチーフに製作されたカップでございます。
大倉陶園の誇る「桜シリーズ」の中でも、
上品さと可憐さが同居した一客と存じます。

お嬢様や奥様方が、
成人式の際にお召しになる振袖でも、
選択肢に上がることの多い友禅。
カップ全体は黒の印象が珍しいですが、
可愛らしいピンクの桜と縁取りや持ち手に
施された金彩との調和により、
華やかなパーティーでもお使いいただける一客ではないでしょうか。

マイリトルベアは、
以前お屋敷にございました「テディベア」の
対になるデザインのカップでございます。
愛らしい見た目は間違いのないところ。
大旦那様から皆様に向けてのアニバーサリープレゼントを、
大切にお使いいただければ幸いでございます。

……

この度は皆様に、
名だたるブランドのことも知っていただければと存じます。

折角ですから、最初は「大倉陶園」から。

大倉陶園と言えば「ノリタケ」傘下のブランド。
元来同一の創業者が立ち上げましたブランドでございまして、
両ブランドは兄弟的な立ち位置にあることが知られております。
その創設は1919年とのこと。

高級洋食器と芸術的価値の高い陶磁器に特化しておりまして、
上質な原材料を使用し、熟練の職人の手作業で
一つ一つのカップが作られております。

代表的なシリーズといたしまして、
「ブルーローズシリーズ」がございまして、
当家でも所有しております。
岡染めという伝統的な技法が用いられておりまして、
ティーサロン創立1周年を祝い作られた「ブルーバタフライ」にも、
この製法による美しい色彩が見られますね。

洋食器でありながら、
日本的なわびさびも感じられる、
静謐な美しさが特徴の大倉陶園。
是非お手にとっていただいて、
間近で確かめてみてはいかがでしょうか。

ちなみに私は、
「うまくゆく 回転木馬」というカップが
気になっております。
実際に拝見したいものです。

ティーサロンでは様々なティーカップを
ご用意しておりますので、
お楽しみいただければ幸いです。
皆様の日々の楽しみの一つになれば、
嬉しゅうございます。

お戻りを心よりお待ちしております。

才木

はるうらら

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

きっとそろそろ春の匂いを感じている頃。
などと考えておりましたが、
最後(と信じている)寒波が襲ってまいりまして、
背を丸めて首をすぼめることしか、
出来なくなってしまいました。

世間的には桜フレーバーが登場し始め、
その到来を心待ちにする空気が流れております。
当家でも桜のフレーバーティー「チェーホフ」のご用意が、今年も叶うようです。
さまざまな紅茶ブランドでも「桜」の文字を見かけますので、
飲み比べてみるのも面白いかもしれませんね。

季節感を味わうことを意識的にしてみると、
ただ過ぎていくだけに感じる時間が、
少しだけゆっくり流れる気がいたします。
慌ただしい日常の中で、
立ち止まるきっかけになさるのもよろしゅうございますね。

のんびりとなさる時でしたら、
私は小川洋子さんをオススメいたします。
芯がありながら柔らかい語り口の
幻想的な空気が印象的です。
優しい雰囲気がこの季節にピッタリです。
長めのものなら「ことり」、
短編集なら「口笛の上手な白雪姫」が私は好きです。

暖かくなると信じて、
新たな次節の準備もしてまいりましょう。
ごゆっくりお過ごしいただけますように、
ティーサロンやギフトショップでも、
準備を整えてお戻りをお待ちしております。

才木

日誌

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

新年が始まりました!
本年もよろしくお願いいたします。

さて新年一発目は、
「AKEOME」と題しました
エクストラティーをご用意いたします。
相方はいつものあいつ。
日頃は甘いミルクティー等をご用意することが多いのですが、
たまには我々の紅茶を使ってみようかと考えました。

ということで!
相変わらず時任の協力を仰ぎまして、
ニルスシロップとPSGシロップを
調合してもらいました。

そちらを我々の紅茶で割ります。
ニルスのニルス割りとPSGのPSG割りです。
なんのことやらといった字面ですが、
お楽しみいただけますと幸いです。

ただ一つだけ謝罪しなければならない点がございます。
新年ということで華やかな色味にもこだわりました結果、
アイスティーでございます。
是非暖かくした上でお戻りくださいませ。

また二月には、
久しぶりにアントワネットの配膳係を
仰せつかりました。
相方は例のヒゲでございます。
こちらもご期待くださいませ。

そしてヴァンドゥール才木、
また新しいお菓子をパティシエとともに考案いたしました。
甘く食べごたえのあるスティックブラウニーでございます。

いつものブラウニーと異なりまして、
スティック状にカットされておりますので、
お忙しい合間に召し上がっていただくにもピッタリです。
是非お試しくださいませ。

……

お知らせばかりもあれですので。

皆様は今年の目標はお決めになりましたか。
私個人としては、
「インプットを怠らない」というのを掲げました。
漫然と過ごしておりますと、
自分の中にあるものが目減りしていくのを
感じます。
皆様にさまざまなものをお届けするにあたり、
常に新しいなにかに触れることは、非常に大事なことです。

時間をもてあましていた学生時代のように、
知識に対しての貪欲さを取り戻したいと存じます。

効率的にならず、
より豊かにしていくことを目指したい。
時には怠惰な自分を叱咤し、一歩踏み出す。
ただ無理はせずバランスはしっかり保ちたいところです。

書を捨てよ町へ出ようなどという言葉がございまして、
同じような心持ちもございますが、
今は書を持ち町にも出ようとも思いますね。

新年を言葉通りの新しい一年にできるように。
皆様が幸福でいられますように。
心から祈っております。

本年もよろしくお願いいたします。

才木

日誌

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

いよいよ年末でございますね。

良いお年を!

と気持ちが急いてしまいます。さすが師走。
毎年11月を過ぎたあたりから、
そのような心持ちになってまいります。
今年は気温が下がりきらず
ほのぼのとした陽気が続きましたので、
心情の変化も緩やかでございました。
ただ寒さが勢いを増してなだれ込んで来ますと、それが終わりの合図です。

さて本年も大変お世話になりました。
大旦那様に任せていただき、
様々なことをやらせていただきました。
お付き合いいただき、温かいご感想もいただき、
本当に嬉しい限りでございます。

現在ギフトショップでは、
「教えて! 歌劇団先生!」をお出ししております。
ギフトショップ11周年に合わせました、
言わば「的場の山小屋 特別編」。
ある意味では念願のお品でございます。
我々ヴァンドゥールにしか出せない味わいがあるかと存じます。
(美味しい洋菓子というよりは、スルメのようなイメージですが)
お楽しみいただければ幸いです。

またファーストフットマンを拝命し、
1年が経ったようです。
まだまだ何が出来たわけでもありませんが、
大旦那様からお役目をいただいてから、
私なりには努めてまいりました。
ただ毎度思うことではございますが、
いつでも新鮮に、そして物事を多角的に見れるように。
そんな意識を持ってまた更なる一年に、
臨むことが出来ればと存じます。

今度こそ。

 

良いお年を!

才木

あの日見た空はまだ遠く

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

10月はあっという間でございました。

自身が企画させていただきました
「新選組」ハロウィンに際しましても、
お嬢様から嬉しいご感想を賜ることが出来、
大変励みになりました。
ティーサロンでのイベントにおいても、
また違った形の催しをお届け出来たのではと存じます。

執事歌劇団の皆と共に、
白金高輪セレネにて行われた催しにも参加させていただきました。
外側から見ていても彼らの頑張りや
凄さは分かっていたつもりでしたが、
こうして参加させていただくことでよりそれが分かった気がいたします。

私としても本当に楽しいひと月となりました。
改めてありがとうございました。

この屋敷にまいりました頃、
こんな風に様々なことに関わらせていただくとは、
つゆにも思っておりませんでした。
それだけの年月が経ったのだと感じますし、
背中を見せることに不安を覚えるより、
当然見せていかなければならない立場に
なっているのかもしれないですね。

「今が最高だ」
という言葉に感銘と尊敬を覚えたことがありました。
これからは私が発していくべきものなのかとも考えますが、
まだまだそのような自信はありません。
いつか胸を張って申し上げられるよう、
その時まで精進してまいります。

これから先も沢山の楽しみを
皆様にご用意してまいりますので、
どうかお付き合いいただければ幸いです。

いよいよ年の瀬。
今年は気候の移り変わりも激しく、
体調を崩しやすいのですので、くれぐれもご自愛ください。
お戻りを心よりお待ちしております。

P.S.
12月(正確には11月末ですが)から、
私のフットマンアイスをご用意いたします。
今回は奇をてらわずに、
甘いバニラアイスと
ほんのりビターなキャラメルソースを合わせました、
シンプルなお品でございます。

少し早いですが皆様へのクリスマスプレゼント。
そのリボンをイメージしております。

そのままでもケーキやスコーンと合わせていただいても、
美味しく召し上がっていただけると存じます。
是非お試しくださいませ。

才木

あきらめる

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

十月までまいりますと、
いよいよ年の瀬が見えて来る頃合いです。
一年をどう始めるかも重要だと存じますが、
どう終えるかも意識したいところです。
振り返り反省をするというのは勿論、
出来れば楽しかったことや達成出来たことなど、
前向きなことも一緒に思い出していただくと
更なる1年の活力になると存じます。

自分に厳しく、他人に甘く。
美辞麗句ではございますが、
道徳規範的なものに縛られすぎるのも
よろしくはございません。

自分で自分を甘やかすくらいが、丁度いい。
程よく諦めるのも大切です。
ということで、久しぶりに本のご紹介をいたします。

――――

岩崎ナオコーラ
「あきらめる」

“登山で頂上まで行く? 途中で降りられる?

「『あきらめる』って言葉、古語ではいい意味だったんですってね。『明らかにする』が語源らしいんです」

近所の川沿いを散歩するのが日課の早乙女雄大。
入院中の愛する人との残り少ない日々の過ごし方や、
ある告白をきっかけに家を出てしまった家族のこと、
あれこれと思い悩みながら歩いていると、親子風の二人組に出会う。
親に見える人は何やら思い詰めた表情で「自分の人生をあきらめたい」と言う…。

ふとしたきっかけで生まれた縁だったが、
やがて雄大は彼らと火星に移住し、「オリンポス山」に登ることを決意する…!?

「あきらめる」ことで自らを「あきらかにしていく」――
火星移住が身近になった、今よりほんの少し先のミライが舞台の新感覚ゆるSF小説。”

※あらすじより引用

岩崎ナオコーラさんといえば、
私の中で原田マハさんや吉本ばななさんと
並ぶ、
「作品は知っているが読んだことの無い作家」だったのですが、
(名前の印象が似ているので並べました)
気まぐれに読んだダ・ヴィンチ(雑誌)の
書評をきっかけに拝読いたしました。

タイトルが何となく緩い印象なのがよく、
作品全体も文学的なテーマはありながら、
柔らかく読みやすい作品でした。

大切なことはあれど固執するべきことはあまりない。
成熟者と呼ばれるシニア層の主人公が、
人生の転換点に気づくのはそんなことです。

長く生きるほどに経験が増え、
経験の先には執着がよぎります。
それが良いのか悪いのか。
断じることは出来ませんが、
ひとつの考え方としては面白いのでは、と。

是非ご一読いただければ幸いです。

才木

新選組

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

いよいよハロウィンも近づいてまいりまして、
今年のギフトショップのフェアも始まりました。

「新選組 」という変わり種に、
驚かれた方も多いと存じます。
昔から様々な方に愛されてきてはおりますが、
日々燕尾服をまとって給仕をする我々と
イメージが異なるものではございますね。

歴史、特に時代の大きな変わり目には
さまざまな人間の思いがあり、ドラマがあります。
新選組はそんな中でも、何かに囚われることなく自らの信念を貫いた孤高の集団というイメージがございます。

彼らの信念の根幹にあったのは、
ざっくり申しますと「武士であること」。
武士というのは勤め人です。
ただ名乗り、強いだけではいけません。
仕えるべき主があってこそ、武士なのです。

そう考えると我々使用人と被る部分もございます。
忠義に厚い彼らの背中から
見習えることが沢山ある気がいたしますね!

使用人たちの姿も
皆様に楽しんでいただけるように仕上げさせていただきました。
是非お楽しみくださいませ!

才木