Victor

春という季節はいつも迷子。気がついたら過ぎ去ってしまいますね。

先日ようやく、今年初めて燕の巣を拝見いたしました能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

遅れ馳せながらですが、執事日誌のレイアウトも若干変更されたようで、

以前の日誌よりもシンプルかつスマートな印象になったように思います。

電子端末画面でもずいぶん見やすく感じられるかと存じますので、

お嬢様も使用人の日誌をご移動中の馬車内などでお楽しみくださいませ。

 

新年度も一ヶ月が過ぎ、新たに始めてみたいことも見当がつきました。

折角、お屋敷には個性豊かで一芸に秀でた使用人が多くおりますので、

使用人の私が使用人から学びたい三つのことについて考えてみました。

永遠に話に華が咲きそうですので、敢えて三つという縛りでまいります。

 

まずは伊織から書の学びを得て、字を綺麗に書けるようにしたい。

毛筆、万年筆、硬筆、多種多様な筆記具の正規の使用作法を知り、

しかしながら、いままでの丸文字を卒業するということではなく、

TPOをわきまえた選択肢を持てるようにしたいと目論んでおります。

 

二人目、フットマン及川からたくさんのトリビアを学びたい。

案外と言っては失礼ですが、及川は様々な分野において博識です。

芸術、歴史、生物、美容と引き出しが多く、話題には事欠きません。

日常生活での関心事へアンサーできるようになるかもしれませんね。

 

最後の一人、使用人兼庭師の蓮見からガーデニング技術を学びたい。

これは胸を張って申すことでは全くないのですが、実はわたくし、

お恥ずかしながら幼少期にアサガオを育てきった経験がございません。

庭園に咲く草花と仲良くなること、これが当面の目標でございます。

 

様々な分野で得手不得手があるのが人間という生き物でございます。

それを豊かな個性と考え、「先生」と自分の中で捉えること。

日常にこそ学びはたくさん存在しているものでございますね。

 

能見

D’OR

桜の花弁は何故五枚なのだろうと生命の神秘に思いを馳せておりました。

その科学的な根拠の新発見に、春の楽しみを見出した能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

我々が行った数々の悪戯を、まずはお嬢様に謝罪しなくてはなりません。

お屋敷や配信で使用人らしからぬ無礼を働き申し訳ございませんでした。

しかし誠に勝手ながらねがわくば来年も年に一度のエイプリルフールに、

お屋敷の使用人たちによる悪ふざけに付き合っていただけますと幸いです。

 

春になり四月から新しい年度を迎え、お勉強も心機一転でございますね。

お嬢様は新しい環境での社会勉強に奔走していらっしゃる最中でしょうか。

馬車の中での初々しいお嬢様やお坊ちゃまのスーツ姿を拝見いたしますと

応援したいと申しましょうか、エールを送りたいという気持ちになります。

 

年度初めは普段とは違う独特の緊張感もきっとございましょうから、

お疲れが出ましたらすぐにティーサロンへお戻りくださいませ。

どうかその未来が燦々たる太陽のように輝かしいものでありますように

私もお屋敷の片隅から切に祈っておりますね。

 

能見

Unicorn

目に見える景色すべてが色めく。そのような季節が到来いたしました。

不意に聞こえる伊織のくしゃみに感動さえも覚える能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

今月はティーサロンにおける春の催しが目白押しでございますね。

まず3月の前半といたしましては「プリンセス期間」と称しまして、

日本の伝統行事「ひな祭り」をお楽しみいただく期間でございます。

いつもならば「お嬢様」「お坊ちゃま」とお呼びしてございますが、、

この期間だけは特別に「姫様」「殿下」と。

我々も最初の数日間は慣れぬことに戸惑いを隠せずにおりますが、

ようやく「姫様」という言葉が口に馴染んできたと思った矢先に、

儚くも終焉をむかえてしまうのが「プリンセス期間」。

お嬢様、その刹那性をも、どうかお楽しみくださいませ。

そして、3月の後半は当館の「アニバーサリー期間」でございます。

開館記念日の3月24日をお嬢様とお祝いする期間でございまして、

毎年当館のキュイジニエ青木が特別なお料理をご用意いたします。

私もそろそろ食事に合わせたワインのご選定をせねばなりませんね。

何とご覧の通り今年は「お重」が数年ぶりの復活を遂げました。

懐かしいと感じられるお嬢様もいらっしゃるのではないでしょうか。

シェフの愛情が籠ったお弁当箱と手の込んだ特別なメインディッシュ。

スペシャルが盛り沢山のアニバーサリー期間。お楽しみくださいませ。

今月で社会勉強が一区切りのお嬢様もいらっしゃるかと存じます。

どうか最後の最後でお疲れがでませんように、祈っております。

来月からはまた新たな世界がお嬢様の眼前に広がることでしょう。

少しでもお支えできますようお仕えいたします。

能見

SW2022

2022年が始まったかと思った瞬間に新しい月がやってまいりました。

寅年であることを一年間声高に叫ぶ覚悟のできた能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

寒い日が続く今年の冬。ご体調は崩されていらっしゃいませんか?

私は夜の寒さに耐えかね、今冬、湯たんぽを購入いたしました。

電子レンジで温められる簡易的なタイプで、構造も至ってシンプル。

そんなに効果は期待できないだろうと、たかを括っていたのですが。

至福。

この一言に尽きます。

ベッドに入り込んでから入眠まで、秒針が一周しない私ですが、

今冬、遂に「10秒の壁」をも超えてしまったかもしれません。

こんなことなら早くに入手しておけばと後悔の念に苛まれますが、

冬の楽しみがひとつ増えたと自身を納得させることにしましょう。

今月が終わりますと、

また季節が巡ります。

今月28日には重光とカクテルをご用意する運びとなりました。

ライダーバトラーがお作りするサイドカー改め「Tourer SW2022」。

キャンプツーリングで焚き火を囲いながら、仲間と語り合う瞬間。

生命の温もりを感じながらもどこか別世界で非日常なひとときを。

今年もお嬢様のお傍で。

そのような時間を紡いでまいりたいものです。

能見

Meilleurs voeux

あけましておめでとうございます。

屋敷で迎える幾度目かの新春。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

年越しの瞬間、隣にお嬢様や使用人たちがいないというのは、

まだまだお恥ずかしながらまったく慣れないものでございます。

と同時に、カウントダウンパーティーには懐かしさも覚えます。

今年の年末にはと、はやる気持ちも心の中に出てまいりました。

新年を迎えるにあたり、抱負というほど大層ではありませんが、

心中に決めた目標のようなものが浮かび上がっております。

それは、例年以上にお嬢様と彩り豊かな景色を見ることです。

昨年、一昨年の日常を取り戻すような一年にしたく存じます。

そのためには今までにない、新たな試みが必要でございます。

私自身が屋敷の使用人と一緒に、新しい何かに挑戦すること。

それはお嬢様にいつもワクワクをプレゼントしたいからです。

使用人として行き過ぎた厚かましいお節介ごとかも知れません。

しかしながら、お嬢様の笑顔のみなもとになれますように。

あなたが流す涙が、どうか喜びと幸せの結晶でありますように。

この身をもって体現してまいりたく存じます。

本年もお早めに顔を見せていただけますと幸いでございます。

屋敷の皆で、あなたのお帰りをお待ちしております。

お嬢様、本年も何卒よろしくお願いいたします。

能見

Climat

ジングルベルが近づくにつれポインセチアの剪定に庭師が大忙し。

シナモンとジンジャーで毎年の冬を感じる能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

何と驚くことに遂に来てしまいました年末でございます、お嬢様。

お嬢様は日々充実した毎日をお過ごしでいらっしゃいますので、

きっと一年があっという間に感じられたのではないでしょうか。

師走という季節は、どうしても社会勉強の課題が山積みです。

ついつい目の前のことに集中してしまうことも多いかと存じます。

そういうときこそ一度深呼吸。一休みして頭を空っぽにしましょう。

多忙なタイミングにもゆとりを持つことが必要なように感じます。

年の瀬になりますと、いろいろな景色が心の中に巡ります。

たくさんのできごと、たくさんのおもいがあったなぁと。

どのような一年を紡いできたのか振り返る良い機会でございます。

のちほど改めて書き綴った日記を読み返してみましょうか。

今年もお屋敷で数多の新しい体験をさせていただきました。

来年はより枠にとらわれることなく、果敢に挑戦できる環境でしょう。

なにごともチャレンジ、という目標を来年も掲げたく存じます。

お嬢様と新しい風を感じられますように。

本年もお傍でお仕えさせていただきまして、

誠にありがとうございました。

来年も何卒よろしくお願い申し上げます。

良いお年をお迎えくださいませ。

能見

Millesime

世界各国で新酒が解禁となり、ワイン好きには堪らぬ季節です。

ビンテージ情報を拝見する度、心が躍る能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

師走の気配を感じ、一日が日に日に短く感じられるこの頃です。

お嬢様は時を忘れるくらい何かに没頭することはございますか。

朝に始めたことを気がつけば日が沈むまで、深夜まで続けていた、

時計を見ることすら忘れて、一つのことに集中するようなご体験。

大人になると社会勉強が始まり、色々な荒波が襲い掛かります。

朝早くにご起床なさって、夜遅くまでスケジュールが詰め詰め。

そのようなご多忙の中で何かひとつの事象に注力することは、

幼少の頃に比べますと随分敷居の高いことのように感じます。

私にとりましては、直筆云々はさておき文字を書くという行動が、

時を忘れることへのきっかけなのだと、最近気付かされました。

伊織のように流れるような美しい文章を書くことは叶いません。

しかし、下手でも記し続けることが性に合っているとも感じます。

数年に掛けて日々のたわいもないことを書き記す直筆の日記も、

月に一度お書きしておりますこちらの日誌も左様でございます。

昨年の今頃に発刊させていただきましたワインダイアリーも、

執筆中はその感覚を持つに近しいかもしれませんね。

自分の考えや言動を文字に起こして未来へ残すことは、

過去の心境を客観的に捉え、整えることにも繋がります。

当時の感情がつい溢れてきて、それゆえに時間を忘れてしまう。

そのような情緒的な側面もきっと大きいのでしょう。

お嬢様にとりましても夢中になれるご趣味がございましたら、

是非、ご教授いただけますと嬉しゅうございます。

おやすみなさいませ、お嬢様。

能見