Ignis

目を覚ますと雨音が聞こえる朝を迎えることが増えてまいりました。

自分自身に傘をさす才能を全く感じられない能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

お屋敷からお知らせがございました通り、今夏は催しが様々目白押し。

私が夏を愛してやまない理由は沢山の思い出ができるからでございます。

思い返したとき宝物のようにキラキラと輝かしいものとなりますように。

ひとつひとつを大切にしてまいりたいという強い思いがございます。

 

私ごとで恐縮でございますがお屋敷にまいりまして10年が経ちました。

とても不思議なもので、気がつけば10年、という感覚でございます。

しかしながら、いたずらに時間を過ごしたとは私は全く思いません。

 

今、お屋敷の使用人を志す姿を拝見すると、不意に懐かしさを覚えます。

紅茶やティーカップの知識、そして使用人としての所作や心構え。

短期間で様々なことを学んだなという記憶が脳裏に蘇ってまいります。

 

それから日々の給仕に尽くしている間に。

季節の催しをひとつひとつ楽しんでいる間に。

執事歌劇団の活動に励んでいる間に。

気がつけば10年が経っておりました。

 

たくさんの思い出が詰まったティーサロンでの毎日。

私にとりましてそのひとときがかけがえのないものでございました。

お嬢様、どうかこれからもよろしくお願いいたします。

 

能見

Thira

新緑も映え、生命の活気を感じる季節となってまいりました。

過ごしやすい気候が少しでも長く続くように祈る能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

私の大好きなお花のひとつ「ネモフィラ」が咲き誇る季節の到来です。

空も陸も、視界が全て青に染まる世界、とても幻想的でございますね。

ひたちなかの庭園に最も有名なネモフィラの美しい花畑がございますが、

見頃はゴールデンウィーク、執務を抜け出せる時期ではございません。

 

ひたちなかまでと考えると馬車を乗り継ぐ時間を計算してしまいますが、

上記の庭園以外でもネモフィラスポットが数多くあるようでございます。

執務の合間の時間を使って、実際に赴いてみることにしたいと思います。

 

さて話は大きく変わりまして、今月は様々なお品をご用意いたします。

ティーサロンでは使用人考案ケーキ「フランクフルター・クランツ」。

ドイツのフランクフルトで愛されている伝統的なケーキでございます。

 

柔らかなスポンジと濃厚なバタークリームが幾層にも織り成しまして、

側面に散りばめられたナッツの食感と粉糖が幸せの余韻をもたらします。

屋敷では久し振りに私が考案のスイーツをご用意する運びとなりました。

 

そして5月よりギフトショップではまた違ったベクトルから焼き菓子を。

爽やかな初夏を感じられます「パイナップルとローズマリーのタルト」。

完熟パイナップルジャムとほのかに香るハーブが綺麗に調和いたします。

ご別宅で南国ビーチでの常夏バカンスを感じていただけますと幸いです。

 

新生活のお疲れが出る季節でございますので、少しでもお嬢様の支えに。

お屋敷でもご別宅でもお楽しみいただけますようにご用意いたしました。

甘いスイーツとともに素敵な日々をお過ごしくださいませ。

 

能見

Villandry

本年のネモフィラの季節が待ち遠しくて仕方がございません。

暖かくなるにつれて気持ちが高まるばかりの能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

新年度が始まり、お嬢様を取り巻く環境に変化はございましたか?

新しい境遇に、新しい人間関係に気苦労の多い季節かと存じます。

我々は変わらずの面々でお嬢様のお帰りをお待ちしておりますので、

お疲れの際はティーサロンでごゆっくり紅茶をお嗜みくださいませ。

 

先日は浪花におりました時以来、美術館へ赴く機会がございました。

クロード・モネをはじめとした、印象派の絵画展でございます。

ティーサロンにもモネ作「睡蓮」の絵画が飾られておりますが、

同作者同名の作品が数百種にものぼることを初めて知りました。

 

何を意図して描いたのだろう、絵画を通じて何を伝えたいのだろう。

作者の思考回路を想像するだけで、あっという間に時間が過ぎ行き、

気が付けば一日をかけて、美術館内を彷徨い歩いておりました。

心の中で眠っていた知的好奇心を満たしてくれる環境でございます。

 

今まで知っていたつもり、理解していたつもりでいたものが、

歳を重ねるごとに、人生経験を積むことで見え方が変わってくる。

大人の嗜みをまたひとつ学んだ、大変よい機会でございました。

 

お嬢様にとりましても素敵な作品との出会いがありますように。

 

能見

la Seine

自然由来の目に見えぬ微粒子が我々の生活を脅かす季節になりました。

強靭な精神で打ち勝つという考えが浅はかだったと悟る能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

今月24日をもってティーサロンの設立から18年の月日が経ちます。

ひとえにお嬢様、お坊っちゃまのお支えあっての道のりでございました。

この場をお借りして、改めまして多大な感謝を申し上げます。

いつも屋敷の使用人へ目を掛けてくださりありがとうございました。

その半分以上の時間、屋敷にお仕えしているのかと頭を巡らせますと、

言葉ではなんとも言えぬ感慨深さが私の心の中を満たしてまいります。

その殆どの時間、給仕に課外活動に奔走してきた自負はございますが、

継続は力なり、と言うは易し、事に移すにはこれほどまでに困難かと、

ひとりで思い悩んだことも一度や二度ではございません。

しかし、その生まれてきた逆境を乗り越えて今を迎えられたのは、

志を同じくして日々懸命に給仕に励んだ仲間がいてくれたから。

そして何よりも。

お屋敷を愛してくださいましたお嬢様の笑顔がずっとあったからこそ。

たくさんの紆余曲折があったドラマのワンシーンのような日々も、

今となっては宝石のようにキラキラと輝いて見えます。

これからの日々もたくさんの季節をご一緒させていただきます。

少し早いご挨拶となりますが、19年目もよろしくお願い申し上げます。

能見

Ciron

ひと月が思いのほか目まぐるしい速度で終焉を迎えてしまいました。

本年に掲げた目標がまだ脳裏にあることが奇跡な能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

今年になりまして、新たな朝の習慣として読書と白湯を始めました。

私なりの精一杯の丁寧な暮らしといったところでございましょうか、

慣れぬことに背伸びをして取り組んでよかったなと思っております。

一日の始まりに身体と精神を整えよう、というのがはじまりでした。

 

まず目覚めがよくなりました。これは大変大きな進歩でございます。

目的意識が明確ゆえ起床モチベーションが向上したように感じます。

中々お布団から抜け出せないような、寒い朝が続いておりますので、

毛布に包まれ読書をしつつ、徐々に目覚められるようになりました。

 

そして生まれつき冷え性の私にとって、白湯は今や大きな存在です。

始めてひと月ほど、指先の冷えは軽減されている実感がございます。

直接ヒーターで暖をとる以上に、体内からのアプローチは効果的で、

体温の上昇により免疫力の向上や花粉症対策にもよいと聞きました。

 

その他、朝習慣としてヨガや瞑想を始めてみようと試みたのですが、

効果効用と拘束時間や二度寝のリスクを天秤にかけまして不採用に。

無理せずストレスなく続けていけるくらいが理想だと思いますので、

ひとまずは先述した二つの習慣を長く続けていけたら、と存じます。

 

お嬢様にとりましても、心身が整う習慣はございますか。

もし差し支えなければ、教示願いたいものでございます。

 

能見

leaf

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

幕を開けました2024年と申しますと、4年ぶりの閏年でございます。

だからどうしたと言われればおっしゃるとおりそれまでなのですが、

例年よりも一日多いわけですから、何だかラッキーでございますね。

天から与えられたその24時間で何をしようか、思案が止まりません。

 

年末は一年間書き溜めた日記を振り返るだけでも大変でございました。

充実した日々を積み重ねられたのもひとえにお嬢様のお陰でございます。

改めまして感謝申し上げます。2023年は誠にありがとうございました。

 

そして本年三月でお屋敷は18周年。夢の大台も近づいてまいりました。

お嬢様が安心してお過ごしできる場所をこれからもずっと残せますよう

使用人一同、一層の誠意を持って、本年も給仕に励んでまいります。

 

いつも変わりない日常を大切に。

そして変わりゆく時代にいつも新鮮な心で向き合えるように。

 

まずはお屋敷で新年の挨拶が叶うと嬉しゅうございます。

お嬢様のお早いお帰りをお待ち申し上げております。

 

能見

Orb

共に執務をしておりますひとりのセカンドスチュワードがうきうきです。

ジングルベルの季節がやってきたのだなと肌で感じる能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

一年の締めくくりのひと月、街も華やか賑やかに活気づいてございます。

徐々にイルミネーションに彩られていく街並みに、安心感すら覚えます。

素敵だな綺麗だなと感じる前に、もうこんな季節かと思ってしまうのは、

慣習と捉えているのか、はたまた童心を忘れてしまったが故でしょうか。

 

お嬢様にとりましても社会勉強に奔走していらっしゃることと存じます。

期末の試験や論文のため学業に精を出していらっしゃるかもしれません。

煌びやかな街並みと対照的に追われることの増えるひと月でございます。

お疲れのでませんように、流行病にかからぬように、と祈っております。

 

このような大変充実したスケジュールを組まれていらっしゃるお嬢様へ。

息抜きをする時間やストレス発散の場を設けることも大切でございます。

 

その観点では、自然との触れ合うことはとてもよい機会でございました。

私自身、自然が持つ力の偉大さに圧倒された一年だったと振り返ります。

 

春先にはキャンプに赴き、雄大な自然と恵みを肌で体感いたしました。

夏には富士山を登頂し、自然の尊厳、厳しさを学ぶことができました。

秋には使用人たちと釣りに挑戦いたしました。四名でまいりました釣行。

こちらはまたティーサロンでごゆっくりお話しさせていただきましょう。

 

今年は都市生活では体験できないことに、沢山触れることができました。

いつもとは違う景色、いつもとは違う肌温度、いつもとは違う感情情緒。

その「いつもとは違う」は、日常の荒波で少しずつ削り取られていった、

忘れ去ってしまった、もうひとりの自分自身の結晶なのかもしれません。

 

もしお嬢様が自然に触れ合う機会を設けたいと仰るのでございましたら、

少し車高の高い馬車をご用意させていただきましょう。

 

そして最後に。少し早いご挨拶となりますことをお許しくださいませ。

お嬢様、お坊ちゃま。本年も誠にありがとうございました。

 

能見